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福岡への提言

「新たな「ものさし」は家族の幸せから」~(株)環境デザイン機構・佐藤代表
福岡への提言
2010年10月12日 17:01

<「麻薬」のような公務員制度>

 「閉塞感」「失望」「縮退」。今、このような社会の末期症状のなかで、果たして提言に意味があるのか。先日、東京で事業仕分けを行なっている友人が「もう、公務員はデタラメだ!この国に将来はない。地方だけでも生き延びて欲しい!」と訴えた。私の次男はアメリカで生まれ、幸い英語には不自由していない。昨年、南京大学へ滞在して、帰国した第一声が「お父さん、日本は絶対に負けるよ!」であった。中国で、海外留学経験が無くとも、実に流暢に英語を話す学生が山ほどいるとのことである。この子たちと将来、ビジネスで競争しなければならないと思うと絶望的だ、という趣旨である。最近、自費海外留学を終えた、市役所の若い方と話をする機会があった。海外の大学で学び、すばらしい実務経験をしてきたにもかかわらず、どうも、復帰した職場でピンとこないのだそうだ。「国際交流」といった言葉がむなしい。
 「志(こころざし)」の高い公務員がいることは確かであるし、すべての公務員がムダなわけではない。しかし、公務員制度そのものは「麻薬」のようなものである。昨年まで3年間、地方の市立大学で雇用されたが、業績にかかわらず、着実に給与が支払われ、年度末になれば、予算消化で、書籍や文房具を数十万単位で買わなければならない。余った予算の転用は不可能、「こんな馬鹿な!」と言いたいが、その制度の内部にいれば安泰であり、この別世界に住んでいる公務員に「その制度を変えろ」と言うほうが間違っている。このように、民間人は、ひたすら公務員を養うために働き続け、国家や地方都市は疲弊、崩壊していく。

<前例や経験が通用しない局面の到来>

 北九州の衰退が激しい。2050年には人口が70万程度まで衰退する。高齢化が急速に進み、斜面住宅は限界集落となり、都市として成立しなくなる。「環境モデル都市」の方向性は正しいが、問題は、環境技術で人々がどのように幸せになるか、従来の経済モデル以外の指標や「ものさし」が示されていない点にある。
 福岡で中央区の人口集中が激しく、都市のコンパクト化の視点からみれば、望ましいのだが、近い将来、福岡が成長する時期に人口を吸収していた団地の衰退が一挙に進む。中間地帯の砂漠化である。今必要なのは、「縮小」などといった生ぬるい言葉ではなく、戦線の撤退である。強制力をもった撤退と再編であり、この点から森・富山市長の市電(LRT)の復活と中心部移住のインセンテイブによる市街地再生は見事な「覚悟」と「したたかさ」を感じる都市戦略である。
「共同体の基礎理論」 最近、「共同体の基礎理論」(内山節著)に出会った。目から鱗である。恥ずかしながら、この歳になって、「今まで、なにをやっていたんだろう」といった感じである。今までの都市計画やまちづくりの方法論や視点を再考しなければならない。前例や経験が通用しない、全く未知の局面が現れる。要は、この都市や国家が、最終局面を迎える事を覚悟して、まず自分の家族はどのような幸せを求めるのかを見定め、自分が住むコミュニテイにどのように最後まで関わり、当事者として具体的行動をもって地域を再生するか、それ以外に方法は無い。「福岡への提言」という他人事ではなく、「わたしの覚悟」が必要なのである。

<プロフィール>
佐藤 俊郎 (さとう としろう)佐藤 俊郎 (さとう としろう)
1953年生まれ、九州芸術工科大学、UCLA(カリフォルニア大学)修士課程修了。アメリカで12年の建築・都市計画の実務を経て、92年に帰国。「株式会社環境デザイン機構」を設立し、現在に至る。「NPO FUKUOKAデザインリーグ」理事、「福岡デザイン専門学校」理事なども務める。

<会社概要>
(株)環境デザイン機構
代表者:大嶌 栄三/佐藤 俊郎
所在地:福岡市南区大橋2-2-1マルイビル2F
設 立:1994年12月
資本金:2,110万円
TEL:092-553-0560
URL:http://www.kankyo-dk.com/


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