12日、福岡市議会決算特別委員会は一時、騒然となった。
自民党福岡市議団の富永計久市議が「市長の市政運営について」質疑を行なった際に「民主・市民クラブの江藤博美市議は『よくできた』と言っている。日本共産党福岡市議の中山いくみ市議は『公約違反』と言っている。我が自民党は『可もなく不可もなく』と思っている。特に失策はなかったのではないか」と述べた。
続けて、富永市議は「吉田市長は福岡市立病院を移設する意味がわかっていますか。地域医療は民間に任せて、高度先進医療やこども病院の分野に属する、不足している医療を福岡市立病院でやれば良い。こども病院に地域医療まで含めるから、今度の市長選で論点になるんですよ」と、一次医療(日常的な疾病。風邪など)や、二次医療(比較的専門性の高い外来医療や一般的な入院医療)などの地域医療は民間に任せ、三次医療(緊急入院によって治療を受ける必要がある専門的な医療)を人工島に移転する予定の福岡市立病院に担当させれば、市長選での論点にならないと述べた。吉田市長のアキレス腱、「こども病院」に関して選挙戦でのアドバイスを行なったといえる。
さらに同市議は「吉田市長は民主党県連から推薦を2度もおあずけされていますが、それは吉田市長が国政選挙の際に応援演説をされなかったからと新聞報道などで知りました。吉田市長は再選された場合は応援演説などどうなされるのですか。選挙となるとやはり現職が強いですからね」と発言。吉田市長が再選した場合、応援演説を行なうかどうかの心配までしてみせた。これには多くの市議から「これだと応援だ!」とヤジが飛び、吉田市長は苦笑いするのみ。市政運営方針についての富永氏の質疑は、言わば「敵に塩を送る」ような内容で、吉田市長への挑発行為にも等しいだろう。
福岡市長選を目前に控えた富永市議の発言について決算委員会終了後、ある自民党市議は「まいった、まいった。あれだと吉田市長の応援だね」と笑いをこぼした。一方、言われ放題の吉田市長、本選での反撃はあるだろうか。
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