<エピローグ2>
企業の寿命は50年とも言われている。その主な理由は一般的に、既存の事業や製品が時代の変化に対応できず、技術革新についていけず陳腐化し、事業が成り立たなくなってしまうからだと言われている。
エネルギーの変化による石炭産業、後進国の追い上げによる繊維産業、家庭の主婦が裁縫をしなくなったミシン産業など、枚挙に暇がない。今、ハイブリッド車で世界をリードしている日本の自動車産業も、電気自動車という革新的な変革がすぐ眼の前に来ており、対応を誤ると世界に誇る日本の自動車産業も斜陽産業になってしまう恐れもある。
このように時代の変化、ニーズを的確にとらえる知恵、能力が必要なのである。
積水ハウスも業績が思うようにいかないのは、単に「不況のせい」と片付けるのでなく、少子高齢化社会、持家の飽和化など、過去の経験やデータでは予測が難しくなっている今こそ、発想の転換が必要ではないのだろうか。
50年を経過しても過去の成功体験を抜け出せず、昔日の栄光を追い求めていれば、企業の寿命がきたと見られるような衰退へと向かうかもしれない。ここは冷徹に現実を見つめ、時代のニーズは何かを問うべきときだろう。
21世紀は「環境」の世紀と言われている。幸い、積水ハウスは、和田会長の指揮で業界では初めての環境に対する取り組みを推進している企業として、環境大臣より「エコ・ファースト企業」として、認定されている。このあたりに100周年への飛躍のカギがありそうだ。
次回より、環境をテーマに論じてみたい。
【野口 孫子】
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