<環境問題について1>
積水ハウスは、住宅業界でいち早くこの問題に取り組み、業界では環境の先駆者となった。エコ・ファースト企業という称号に慢心することなく、全地球的「環境」という課題を、いかに住宅というものを通して具体的に貢献できるかが、今後飛躍できるかにかかっていると言っても過言ではないだろう。
単に、環境、エコと言っても、奥が深く、刻々と世界の情勢は変革している。環境問題の本質を見誤ると、経営の危機に直面する可能性もある。一口に環境、エコと言っても、今や環境は国益を賭けた21世紀の政治思想の激しいせめぎ合いになっているのである。21世紀の世界の問題は、核、テロ、環境と言われ、各国の存亡をかけた大きな問題は「環境」と言われる由縁はここにある。
1997年、正式にはCOP3、俗に言う「京都会議」である第3回気候変動枠組み条約締約会議が行なわれた。これは、地球温暖化防止にCO2排出量を各国が削減目標を設定しようとした会議であった。この京都会議が環境問題の幕開けであった。積水ハウスも、この頃から本格的に、エコの取り組みを開始したのである。京都会議で決まったのは1990年を基準に2012年まで、削減率を日本6%、EU8%、アメリカ7%、問題なのは達成できないときはCO2排出権取引を認めるとしたことだ。
これがヨーロッパの巧妙な所で、日本は二度のオイルショックで徹底的にあらゆる産業は省エネをやっていた。日本の産業を発展させるには、排出量が増えこそすれ、減ることはないのである。ヨーロッパは、ドイツは主に石炭中心の東ドイツを統合したばかり、石油に変換するだけで省エネはできると踏んでいた。もともと達成が厳しい日本は、達成不可なら、不足分の排出権を税金で買い取らなくてはならないシステムなのである。
大量排出国の中国やインドは、自分たちは途上国としてわれわれは先進国に追いつくため産業を発展させなくてはならないとして反対、しかもアメリカも産業界の反対、政権交代を理由にこの枠組みから離脱。国際社会は国益を守るため「したたか」なのである。
【野口 孫子】
※これは積水ハウスにエールを送るものであり、誹謗中傷するものではありません
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