物件売買が再び活気を取り戻すにつれ、値上げのスタートを再度切られるかといった懸念の声が全国各地であがり、4月に開始された取締策の効果まで問われています。国民が躊躇するなか、中央メディアが断固たる声を出しました。
4月中旬の制限策を出す前に、新華社通信が相次ぎに論説や記者調査を十数回にわたり発表したのと同様、今回、中央メディアである新華社通信と人民日報が一緒になって、それぞれ7回、当面の状況を分析・批判しました。
新華社通信「近年一部の都市において、物件価格の急上昇による一般民衆の住環境改善の要望実現が一層難しくなる一方、一部の人がぼろ儲けしている。以上のような投機行為を厳しく取り締らないと、価格が合理的な範囲に戻らない」。
人民日報では、大半のマスコミが不動産業界に対する取締策の効果に疑問符を付けるなか、8月17日に「取り締りを更に強化すべき」との論説で口火を切りました。将来の物件価格にデベロッパーや購買者が戸惑いを感じるなか、先んじて「物件価格の合理的な下落が時流だ」との意見を主張しました。
「今度の不動産取締は民生改善、社会調和促進など重大な意義を兼ねるからこそ、揺るがない信念とぶれない姿勢で貫かなければいけない」という心構えが上述の中央メディアから抽出されているのです。
<再度の取締>
各地において、不動産売買件数の増加に伴う価格上昇を抑えるため、9月30日、中央政府が再度の取締策を打ち出しました。
※3軒目のマンション購入に対して銀行からの貸付禁止
※固定資産税の試運営を加速し、徐々に全国へ拡大
※土地や物件に投機するデベロッパーに対し融資ストップ
※価格急上昇の都市において物件購入を制限
こうした取締策の効果はすぐに現れました。
北京では、9月30日に中古物件成約数1,000以上だったのが、10月の1日と2日の2日間を合わせて20件以下に。杭州では、新取締策発表の9月30日における成約件数が、前日29日の12分の1に急転直下しました。
そして今後の市場動向に注目が寄せられています。
(了)
【劉 剛(りゅう ごう)氏 略歴】
1973年12月生まれ。中国上海出身。上海の大学を経て、96年に地元の人材派遣会社に入社。10年3月より福岡に常駐。趣味は読書。
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