<マンション管理会社は身の丈にあった営業を>
福岡市中央区高砂2丁目にあるアースコミュニティ(株)(資本金:1000万円、山下 慶代表)は2009年6月に設立された管理会社だ。山下社長は、旧アーサーヒューマネットに入社し、設備点検などの業務に従事することからスタートしその後、フロントマンや営業など、マンション管理全般をこなしてきた完全に現場叩き上げの社長だ。業界内での再編や流動化が進むなか、起業するなら今、と意を決して会社を昨年設立している。
新設の管理会社が市場に食い込んでいく事は簡単な事ではないはずだが、現在、中規模マンションの管理を10棟手掛ける実績を残している。当初は、ポスティングなどの地道な営業を行なっていたが、中々成果が上がらず苦悩した時期もあったと聞く。しかし、徐々に物件を増やしてきている要因は何なのか。山下社長の実直な人柄もあろうが、やはり顧客本位の営業が実を結んでいるというのが理由であろう。また身の丈にあった営業を行なっていることも大きい。管理費のコストダウンは当然なことながら、売上よりも自社で確実に管理出来る物件しか請負っていない点が顧客の信頼に大きく寄与している。現体制は社長自らが、理事会・総会を仕切り、設備点検も行なうという現場主義のスタイルだ。当然、管理戸数が多ければ売上ボリュームを追及出来る訳だが、それはやらないと山下社長ははっきりと言っている。「売上が欲しいのは当然です。しかし、その欲を出したばっかりに無理な管理を受け、顧客の信頼を失ってしまうことは、本末転倒です。それなら、会社の成長速度は遅くとも、自分達が確実にこなせる管理を行ない、お客様との信頼関係を地道に築き上げていくことが何より重要ですし、結果、近道だと考えています」とのこと。確かに管理物件を見てみると、小・中規模の物件ばかりである。
同クラスの管理会社は数多く存在するが、同社の「身の丈営業」がどう展開し、市場に評価されるのか。今からの会社だからこそ、その動向を追っていきたいと思う。
【神田 将秀】
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