では「学区房」が政策の取締りと関係なく、高い価格を維持しながらも、活況な理由は何でしょうか?
(1)まず、需要が安定しています。購買層が30~45歳の親で、目的がはっきりしています。あるいは、現在の教育政策が変わらない限り、優良校を入学するために、「学区房」の購入は避けられない問題とも言えます。毎年新しい1年生が入学してくるので、需要の減少や消滅などが考えられません。
(2)次に、優良校の数が限定されています。優良校になるには、一朝一夕のことではありません。学校側の長年の努力や政府からの手厚い支援があってこそ、優良校に辿り着けます。すなわち、需要に対して供給のほうがいつになっても品不足の状況です。市場競争の原理に従い、高い価格を出せる者が購入します。
(3)最後に、財テクになります。上述の二つの原因で「学区房」の売却時に、売り手を心配することがなく、人口増加の傾向でますます価値の上昇が予測できることから、「学区房」購買が資金運用を多様化・効率化するための方法のひとつになりつつあります。
<「学区房」購入時のリスク>
(1)優良校が生徒募集範囲を調整することがあります。学校の収容可能な人数は制限されているので、生徒募集対象になる物件の一部が外される可能性があります。もし一度に多くの子供たちが特定の学校に殺到すると、学校側が募集範囲を縮小することが現実的な選択になります。その影響を受け、物件が「学区房」として利用できなければ、現在の価値に水増しされている「付加価値」を一瞬で失ってしまうことになります。
(2)悪質な仲介人に騙されることがあります。一部の業者が、購入希望者の切実な希望を悪用して、対象外の物件を買わせることで、購買者に莫大な損失をもたらします。マンションは普通の商品と違って、多額の費用がかかり、簡単に取り消すこと、または払い戻すことができません。ですから、購入前には慎重な調査が欠かせません。
<「学区房」購入潮流の変化>
以前までは、子供が入学する1~2年前に親が「学区房」を購入することが多かったのですが、現在では子供が幼稚園に入る前に「学区房」を購入している若い夫婦が増えています。あるいは、赤ちゃんが生まれてからすぐ、「学区房」の購入を目指して、常に関連情報に気を配っている若い購入層が現れています。
したがって、需要の実現が前倒しになるにつれ、「学区房」における仲介業者の業績が安定します。昔のように、学校開校前に業績急上昇するような激しい起伏は少なくなり、段々緩やかになると業界関係者は分析しています。
(了)
【劉 剛(りゅう ごう)氏 略歴】
1973年12月生まれ。中国上海出身。上海の大学を経て、96年に地元の人材派遣会社に入社。10年3月より福岡に常駐。趣味は読書。
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