節税対策について、生前贈与(贈与税)と相続(相続税)を比較した場合、どちらが節税効果が見込めるかですが、特に会社経営者かサラリーマンかによって大きな違いがでてきますが、結局はケースバイケースということになります。
なお、財産の総額が基礎控除額(5,000万円+1,000万円×法定相続人の数)以下ですと、相続税はかかりません。しかし、財産が基礎控除額を超える場合でも、少しややこしい言葉ですが、小規模宅地などの特例などを活用することで、相続税がかからなくなる場合もあります。
ザックリですが、会社経営者Aさん(65才)のケースで説明してみます。
■Aさんの財産総額5億5,000万円
・自宅の土地(3,000万円)
・自宅の建物(2,000万円)
・自社株(2億5,000万円)
・事業用の土地(1億円)
・預貯金(1億円)
・生命保険金(5,000万円/生命保険金の受取人は妻B)
■推定相続人4名(Aさんが死亡したら相続人になる者)
・妻B(63才)
・長男C(37才)Aさんの後継者
・長女D(35才)
・二男E(30才)
■Aさんは悩んだ末、自分の財産を以下のとおりに振り分けて遺言書を作りました。
・妻B → 自宅の土地(3,000万円)
自宅の建物(2,000万円)
自社株(1億円)
事業用の土地(1億円)
生命保険金(5,000万円/みなし相続財産)
・長男C→自社株(1億5,000万円分)
・長女D→預貯金(5,000万円)
・二男E→預貯金(5,000万円)
■Aさんが死亡した場合、納税額合計は4,696万4,000円。それぞれの相続税額(概算)は以下のとおりになります。
・妻B → 0円(小規模宅地等の特例を適用)
・長男C → 2,786万円
・長女D → 955万2,000円
・二男E → 955万2,000円
■それでは、生前に節税対策をしていた場合、納税額合計は4,074万8,300円。それぞれの相続税額(概算)は以下のとおりになります。
・妻B → 0円(自宅の贈与による配偶者控除や小規模宅地等の特例を適用)
・長男C → 1,750万3,600円(相続時精算課税を適用・非上場株式等についての相続税の納税猶予の特例は適用していません。)
・長女D → 70万100円(相続時精算課税を適用)
・二男E → 70万100円(相続時精算課税を適用)
なお、以上の税額計算はあくまでも事例であり、実際の計算はかなり複雑になりますので、税理士にご相談下さい。ご参考までに相続税と贈与税の税率表を掲載いたします。
▼関連リンク
青山隆次郎事務所
*記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら