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相続・遺言相談(3) 遺言書って、必要なの?
耳より情報
2010年10月27日 14:09

 遺言書は必要です。財産の多い少ないにかかわらず、作っておくべきです。何故かといいますと、あなたが生涯を全うした後、あなたの家族の中で「争族」が起きないようにしておくためです。

(1) まず、遺言書の種類について、ご説明します。

 遺言書には、一般的に、(1)自筆証書遺言、(2)公正証書遺言、(3)秘密証書遺言の3種類があります。ここでは、(1)と(2)を比較してみます。

遺言書の比較

 上記の表でわかるとおり、自筆証書遺言ですと家裁での検認手続(遺言書を本当に遺言者自身が作ったものかを確認する手続)が必要で、また、内容的に法律の規定に従っていないと無効になってしまう場合があります。これに対して、公正証書遺言ですと多少の費用はかかりますが、家裁での検認手続は不要ですし、後日、遺言書が無効になることがありません。

(2) 次に遺言書を作成する際のポイント3点をご説明します。

1.財産の分割方法を決めておく。
 相続人間で「相続」が「争族」にならないために財産の分割方法を決めておくことが最も重要です。会社経営者の田中さんが、妻に自宅と預貯金(2/3)を、長男(後継者)には自社株の全てを、長女には預貯金の残り1/3をといった内容で遺言書を作ったとします。
 ところが、田中さんが他界し、相続人間で遺言書の内容通りに分配しようとしたところ、長女の夫が「この際、住宅ローンを完済できるだけの現金をもらおう」などと欲を出してくることがあるかも知れません。また、長男の相続財産は自社株だけですが、相続税を納税できるだけの現金の持ち合わせが無いかも知れません。このように、財産の配分方法を決めるのは、なかなか難しいものですので、じっくり検討する必要があります。

2.節税対策をしておく。

3.相続税の納税準備対策をしておく。
 以上のとおり遺言書を作る上で一番大事なことは財産の分割方法です。が、一方で納税準備対策も欠かせません。長男は自社株のみとしましたが、相続税額程度の生命保険に入っておくとか、自社株の評価減対策を講じる、或いは非上場株式の納税猶予の特例を活用するなどしておくことで、税務署に納める相続税を抑えることが可能になります。

 「まだ早い」と考えている内に脳梗塞等で倒れて判断能力が無くなってしまう(痴呆症)と、遺言書を作ることができなくなってしまいますので、早目に作っておくことが肝要です。

(了)
青山隆次郎(あおやま りゅうじろう)氏福岡大名相続手続総合支援センター 行政書士・CFP 青山隆次郎事務所 青山隆次郎(あおやま りゅうじろう)氏 プロフィール 慶應義塾大学経済学部中退。福岡市内の法律事務所にて事務長として勤務し、民事事件や相続問題に従事した後、1999年10月に青山隆次郎事務所を開業。主に相続手続き・遺言書作成手続き、医療法人等の特殊法人設立手続き、外国人の在留資格や帰化申請手続き、離婚相談、内容証明や契約書作成を行なっている。また、ファイナンシャル・プランナー(CFP)として、ライフプランニング全般(家計や住宅ローンの見直し)を行なっている。

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