ネクスト・キャピタル・パートナーズ(株)
代表取締役副社長 本坊 吉隆 氏
児玉 まずは、現在いわゆる再生ファンドが日本においてがどれくらいあるかについてお聞きします。
本坊 いわゆる本当のエクイティに投資する再生ファンドというのは、数が限られていると思います。「再生ファンド」というと一般的には不良債権の買い取りファンドや不動産系ファンドも含めて呼ぶ場合も多いため多少混乱があるようです。
児玉 企業再生ファンドはどうですか。
本坊 企業再生に特化したターンアラウンドのファンドはそんなに多くはないと思います。むしろ、国家のファンドである従前のIRCJ(産業再生機構)や現在の企業再生支援機構の方がある意味プレゼンスが高いのではないでしょうか。そうしたなか、弊社は数少ない企業再生に特化したハンズオンのファンドであると自負しています。
児玉 福岡にキューサイという企業があります。約610億円で売却して、長谷川一族には約400億円が入ったと聞いています。最近になってまた売りが出ているので、どのくらいの評価かと思って試算したところ、実際には130億円程度と予想しています。ただ、コカ・コーラウエストは約360億円の値を付けました。しかし、それプラス約250億円の借金を抱えていたようで、それほどの価値が本当にあるか、ということです。ところで、再生ファンドビジネスの将来性をどのように展望されていますか。
本坊 案件は今後もそれなりに出てくると思います。我々が対象としているのは、中堅中小の再生を必要としている企業ですから、大型ではありません。大型なら大手のプレーヤーや国のファンドがありますからそちらにお任せするとして、中小となると山の裾野のように下に行くほど案件数はあると思います。ただ、それがすべて再生できるかというと、かなり難しいと思います。やはりそこは何かキラリと光るものが残っていて、磨けば再生できるというもの企業でないと難しいでしょう。実を言いますと、我々も過去6件投資しましたが、最近はなかなか投資ができていないのが現状なのです。相手があることですし、我々から見て「これはいける」と思っている案件でも、当事者や銀行などの関係者から「こういう条件で」と提示されると折り合いを見いだすことが困難な場合も多々あります。
児玉 上場させるのであれば、その企業価値は市場で決めてもらえるわけですが、御社のように対象が中堅中小であれば当然、非上場企業のケースが多いと思います。出口の際、引き取る先の価格はどのように見ているのですか。
本坊 現在の市場環境ではIPOによるエグジットは厳しいと思います。ただし我々の案件はもともと赤字の会社も多く、投資時点では企業価値は低いため、ある程度収益が出るようになればその時点で企業価値は大きく改善されますので、理屈上はエグジットの手立てはそれなりにあると思います。
【聞き手:弊社代表 児玉 直】
[COMPANY INFORMATION]
ネクスト・キャピタル・パートナーズ(株)
代 表:立石 寿雄
所在地:東京都千代田区麹町3-5-2
設 立:2005年7月
資本金:5,000万円
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