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怪文書から導かれた福岡市政の実態(下)
行政
2010年10月28日 13:20

<脱・現場主義>
 怪文書の内容を調べていくにつれ、同文書の内容には含まれていなかった現市政の問題をうかがわせる事実が明らかになろうとしている。それは、トップダウン方式といった古い行政組織の弊害だ。吉田市政誕生後、それまで行なわれていた現場主義に基づく業務改善の取り組みであった「DNA運動」が廃止になった。数年間続けるなかで、自発的運動であったものが義務となり、業務に支障をきたしていたことが廃止の理由という。

福岡市役所 しかし一方で、改善の検討がされないまま、廃止に至ったことに対する不満の声もある。また、「DNA運動」は今、全国の自治体において導入が進んでいる。そして、発祥の地・福岡市へ他の自治体職員が断続的に研修に訪れているという。全国大会も開かれ、その特別審査員には、前福岡市長の山崎広太郎氏が呼ばれている。
 現場を知らない吉田市長は、フロント(現場)からの意見が上がるやり方を嫌う局長ら市幹部の言うことを鵜呑みにしてしまった。「行政」で福岡市が全国自治体のモデルとなり、イニシアチブをとることもできただろう。その芽を摘んでしまったのだ。

 ある市議の話では「吉田市政になってから、中堅クラスの職員にアル中が増えた」という。自分の意見が活かされないことで優秀な若手職員は皆、やる気をそがれ眠ってしまった。上司の鼻につく優秀な若手・中堅クラスは左遷され、挙句のはてに不本意な退職に追い込まれていく。
 その一方で、市の幹部連中はわが世の春を謳歌しているようだ。ある市幹部が、市議会において市議からの徹底追求を通り一辺倒の答弁でやり過ごし、議場を出た廊下での一幕。他の幹部へ「一番前に座るのはたいへんでしょ」などと、やれやれといった口調で話している姿を目撃した。

 一体、福岡市政はどこへ向かおうとしているのか。

(了)

【行政取材班】

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