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特別取材

【企業再生】再生に必要な「選択と集中」 資金投入だけでなく汗もかく(2)
特別取材
2010年10月29日 10:00

ネクスト・キャピタル・パートナーズ(株)
代表取締役副社長 本坊 吉隆 氏

 児玉 これまでの案件で、再生して引き取ってもらったというケースはありますか。

 本坊 民事再生の案件で、前の親会社が買いたいというので、投資後すぐに売却して事実上はアレンジの手数料を得たようなケースはありますが、じっくりと収益改善策を講じてエグジットさせた案件は現時点ではまだありません。ただ、バリューアップが進みそろそろ出口が近い案件はあります。

 児玉 本当に社会貢献の高い仕事ではありますが、出口につなげるまでには時間のかかる仕事ですね。

 本坊 投資家から見れば、長い目で見ていただかないとなかなかリターンは期待できません。ましてや、こういう厳しい経済環境ですと、レバリッジではリターンが出にくいと思います。我々が投資するとき、既存株式を購入するいわゆる狭義のバイアウト形式ではなく、第三者割当増資のかたちで会社にお金を入れて、リストラ資金だとか、「選択と集中」を行なうための資金としています。その結果、赤字から黒字転換すれば企業価値も高まりやすいのです。

 児玉 ある意味、使命感を持ってやらないとできない仕事ですね。

ネクスト・キャピタル・パートナーズ(株) 代表取締役副社長 本坊 吉隆 氏 本坊 そうですね。逆に売上がないような、ベンチャー企業の方がある意味もっと大変だと思いますよ。再生会社というのは、悪いところを取り除いて、当たり前の管理をきちんとやっていくことで売上と経費のバランスがきちんと取れるようになれば、そこでキャッシュフローが生まれます。そこまでもっていけば、またそのキャッシュフローを使って安定的な成長軌道にもっていけます。市場性・成長性があるかという問題もありますが、再生にはそれなりの「定石」はあると思います。

 児玉 そうすると、成功モデルをいくつか積み重ねることと、長期戦ですから新規の仕込みも重要になりますね。とくに民事再生のケースでは、資本を売った同業者などを傘下に置いてスポンサーとする場合もありますが、御社のように再生資本を入れると異業種との競争がありますね。

 本坊 最近、相対での案件紹介はほとんどなくなってきています。法的整理の民事再生にしても私的整理でやるにしても、ある程度は入札的なプロセスで、ファンドとの競争であったり、事業会社との競争であったりというのは仕方ないのかなという気がします。銀行紹介の案件も、完全な相対というかたちはなくなっています。入札で選ばれるには、金額や再生実績、あるいはその両方で判断されると思います。

 児玉 そういう意味で御社は、まずは実績をつくっていくことが重要ですね。さとうベネックは1つのモデルケースになると思いますが、この案件は大分銀行からの話ですか。

 本坊 大分銀行から整理回収機構/アドバイザー経由で来た案件です。建設業界は思った以上に大変でしたね。さとうベネックも投資後3年半経ち、その間、公共工事や民間建築需要の大幅減少に加え相次ぐマンションデベロッパーの破綻の影響もあり、厳しいリストラを余儀なくされました。しかし幸い、経営陣・社員の頑張りや大分銀行のご支援もあり、前期(2010年6月期)は一定の決算を迎えることができました。関係者には深謝したいと思います。また今後を展望しますと、日本でも道路や橋梁などの老朽化した公共インフラの補修・補強、また新耐震基準を充たしていない建築物の改築・耐震補強など建設業が活躍すべき分野はまだまだあるので、そういった機会を上手く捉えていければと考えます。

(つづく)

【聞き手:弊社代表 児玉 直】

[COMPANY INFORMATION]
ネクスト・キャピタル・パートナーズ(株)
代 表:立石 寿雄
所在地:東京都千代田区麹町3-5-2
設 立:2005年7月
資本金:5,000万円


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