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【特別連載】積水ハウス50周年への提言~100周年へのさらなる飛躍を目指して(11)
特別取材
2010年10月29日 09:00

<海外事業戦略について4>

 国内での先行きの不透明感と高齢化と人口減少によって、住宅を取り巻く環境は決して明るいものとはいえない。積水ハウスの将来の発展のため、海外へ布石を打っておくのは経営者の責任である。

 しかし、今、世界は不況の真っただ中にいる。進出しようとする国々も経済不況に襲われている。工業製品と違い、その国の長い歴史の風土、人々の習慣、文化を集約している住宅を建築するという、難しい事業を展開することになるのである。

 積水ハウスは30年ほど前に、当時の西ドイツに進出していたが、結局は定着できず、大きな損失を出して、撤退した歴史を持っている。その失敗の歴史を繰り返さないよう、念には念を入れて、検討せねばならないだろう。

 ドイツは個人の敷地だろうが、建築規制が強く、建物の配置、家のデザイン、色、素材まで規制されている。一例として、当時最先端の銀色のアルミサッシは使えない。
 また、住宅建設は施工が伴うが、それには現地の従業員を使わなくてはならない。日本人の従業員のように会社への忠誠心は低い。おまけに、現場職人は中東、アフリカ、インド、東南アジアなどの外国労働者の出稼ぎが主体、そのため、品質管理も徹底できないため、ただでさえクレーム産業と言われている住宅、クレームの処理で赤字が増えてしまった苦い経験があった。

 日本式経営が通用しない世界を知り、高い授業料を払ったのである。同じ轍は踏まないよう、周到な調査、準備をしているとは思われるが、何が起こるかわからないのが国際情勢である。常に不測の事態を想定しながら、国際事業を推進すべきだ。

 現に、中国では、尖閣諸島の問題のきっかけで、中国各都市で、日本排斥のデモ運動が展開されている。政治も深く影響しているが、背景には地方と大都市の格差、就職難など国内問題が形を変えて、日本に向けられているとも言われる。

(つづく)

【野口 孫子】

※これは積水ハウスにエールを送るものであり、誹謗中傷するものではありません。


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