ネクスト・キャピタル・パートナーズ(株)
代表取締役副社長 本坊 吉隆 氏
児玉 新日鉄釜石のラグビー部出身の方で、家業のガラス工事会社を継いでいる人がいます。先日久しぶりにお会いしましたら、7年間で売り上げが半分になったと言っていました。受注量の減少は2割程度なのですが、受注単価が3割減ったので、合わせて50%落ち込んだようです。
本坊 我々が再生しているゴルフ用品のキャスコや、健康器具のフジ医療器でも状況は同じです。デフレだから仕方ないのですが、世の中一般的にも単価も数量も落ちてきています。キャスコやフジ医療器も「選択と集中」をきちんとやった結果、今は赤字経営から脱却、黒字化しつつあります。基本は「儲からないことはやらない」、「得意分野を伸ばす」という当たり前のことをやることです。キャスコでは、グローブやボールなど消耗品に注力して、売れないと返品されるゴルフクラブは在庫を絞り込むなどして収益性を高めていきました。
児玉 御社の方向性を含めて、今後の見通しはいかがですか。
本坊 1号ファンドはすでに7、8割方、投資は終わっております。エグジットを1、2件、実績を残してから2号ファンドに移行していきたいですね。戦略はどうかと言いますと、基本的には1号ファンドと同じで、今は経営が軌道にのっていなくても磨けば何か光るものがある中堅中小企業に投資をしていきたいと思います。2号ファンドはプレマーケティングの段階です。
児玉 どのくらいの規模の事業ファンドを予定されていますか。
本坊 1号ファンドもそうですが、我々は中堅中小企業を対象としていますので、100~200億円程度です。それ以上の大きなファンドになると、かえって案件規模に縛られたり、マネージメントフィーに胡坐(あぐら)をかいてしまったりというファンドが陥りがちなリスクもあると考えています。大きな案件の場合は、足利銀行の投資のように別ファンドを組成する手もあります。
児玉 ファンドの案件については、今後は会社更生や民事再生のような法的整理のケースが増えてくるのでしょうか。
本坊 我々は私的整理がもっと増えると思っていました。世の中で実際に起きているのは、JALにしてもそうですけど会社更生や民事再生などの法的整理の方です。逆に言うと、銀行のような関係者から見れば、法的整理できちっとかたがつくのですっきりするのかもしれません。私的整理ですと、関係者すべてが合意しないといけませんので、銀行の立場からするとけっこう時間もかかり面倒臭いのでしょうね。このあたりに本来企業の再生ためには、より優れているはずの私的整理やADRが世の中にそれほど浸透してこない理由があるのではないでしょうか。また、以前のIRCJ(産業再生機構)のように、ある程度の強制力を持っていないと、銀行も商売ですし株主に対する責任もあるので安易に債権放棄ができにくいですよね。
【聞き手:弊社代表 児玉 直】
[COMPANY INFORMATION]
ネクスト・キャピタル・パートナーズ(株)
代 表:立石 寿雄
所在地:東京都千代田区麹町3-5-2
設 立:2005年7月
資本金:5,000万円
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