「たばこを吸っている男が、かっこいいという時代がありました。」と言うのは俳優・舘ひろし。製薬会社ファイザーの禁煙飲み薬のテレビCMで禁煙に成功した男という設定だ。舘ひろしといえばドラマ・映画などでたばこの姿が絵になった。喫煙歴40年に及び禁煙に何度も失敗したそうだ。
　今回は実際に禁煙に挑戦している。今年３月以降その姿が紹介され、９月下旬から今回の新バージョンが放映されるようになった。10月１日の値上げに焦点を合わせていたのは明らかだ。いつまでも若々しい容姿は芸能人の面目躍如だが、齢60である。ある医師は「団塊の世代はこれからまさに健康が気になってくる。だれもが感情移入する」と絶妙の人選に舌を巻く。テレビCM以外にも積極的なアプローチがなされ、「売り上げは４倍にはなったのではないか」と試算する。
　こうした中で、禁煙ガムや貼り薬などの先行組が特別なキャンペーンを行なっている様子はない。ある社員は「ほかに売るべきものがあるということ」と落ち着いている。「処方箋医薬品には一般に知られていなくても効果が高く百億円単位を売り上げる商品も珍しくない」。良い商品を出せば景気動向にも打ち勝つ力を持つ業界のようだ。

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