この地で働く魅力とは 経済活性化に必要なもの
男性が要職につく福岡経済の枠組みでは、これ以上の福岡活性化は不可能ではないか--こうした考えから今回、福岡で活躍する女性経営者による座談会を企画した。今の福岡の魅力と欠けているもの、女性ならではの視点から考える福岡の活性化策について、自身の経営と関連づけて語っていただいた。
<行政、女性の問題点>
―経営をしていくなかで、現行を変えてほしい、もしくは経営上支障をきたしている制度などはありますか。
松下 ものすごくプリミティブなことで言えば、「男女別姓」です。当社は「松下美紀」という人が創業した会社だと社名で分かりますが、これが突然夫の姓になったら誰だかわからなくなります。今は旧姓で仕事をしていますが、実は「松下美紀」という人はすでにこの世に存在していません。存在を証明するものが何もないのです。
日本ではまだ良いですが、海外での仕事はすべてサインですので、代表取締役は本名で名前を書かなければなりません。すると相手の人が「私は松下美紀さんと話しているはずなのに、あなたは誰だ」と言われるのです。それを補完し説明するための、英語や中国語でのぼう大な資料を準備しなければなりません。
男の人ばかりで制度を決めてきたから、こうした法の改正案が通りにくいということもあるのでしょう。夫婦別姓の話が出ても、すぐに立ち消えになります。この点では仕事がしにくいなと感じています。
権藤 行政は本当に変わりませんね。保育の指針にしてもそうですが、何十年も前の基準ですから、今の時代にそぐわないですよね。
安東 一方で、「男女共同参画社会基本法」という法律ができて10年以上経ちますが、なかなかそれが実現しないのは女性の問題です。たとえば「玉の輿」という言葉がありますが、日本の女性にはフィフティーの思考経路が育ってないのです。また、結納金を見て外国の人が「何で結婚するのにお金が動くのか」と不思議に思って質問してくることがあります。
そうした外からの視点は、中にいて気づかない矛盾がたくさんあることを再認識させられます。元をたどれば、「女性の個」が確立されていないのでしょう。
権藤 たしかに「結婚してもまだまだ働きたい」という女性は少ないかもしれません。やはり玉の輿に乗って結婚したいという人もいます。それは教育の問題だと思いますし、女性の意識レベルもさらに上がらないといけません。
安東 本当に女性が社会で男女共同参画というのなら、給料はすべて折半にする必要があります。それで初めて本当の意味で男女が対等の立場になりますし、子育ても一緒にやろうというレベルになると思います。それが「女性の個」の確立でしょうが、日本ではそこがまだまだです。
松下 結婚して仕事をやめようという気持ちの女性もいると思います。日本の場合は何をしても食べていけますからね。仕事も探せばありますが、本当の格差社会では働くことすらできません。そういう意味で、日本は甘いというか必死感がないと感じています。
<参加者 プロフィール>
[COMPANY INFORMATION]
(株)アントレ
所在地:福岡市中央区天神1-4-1 大丸東館エルガーラ4階
設 立:1986年9月
資本金:1,000万円
[COMPANY INFORMATION]
(有)Branches
所在地:福岡市博多区蒲田2-2-23
設 立:2006年3月
資本金:300万円
[COMPANY INFORMATION]
(株)松下美紀照明設計事務所
所在地:福岡市早良区百道浜3-4-7-101
設 立:1989年6月
資本金:1,000万円
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