<OEM配合比を改ざん?>
話の大筋は次のとおりである。(株)チヨペット(大阪市東住吉区、代表取締役:千代敬司)が2006年から3年ほど販売していた『BATSUGUN(バツグン)』というペット自然食のOEM供給元が、(株)アニマル・ワン(福岡県久留米市、代表取締役:菰方順子)だった。チヨペットはある日、小麦アレルギーのあるペットをもつ顧客のことを考え、小麦粉を米粉と玄米粉に変えるためにアニマル・ワンに製造を委託したペットフードの配合一覧の提示を求めたところ、打ち合わせをしていた配合が勝手に変えられていたというもの。
チヨペットとしては顧客に配合を伝えながら提案していたことから、信用問題に発展したとしてアニマルワンの担当者に連絡をとった。その後、話し合いが平行線をたどるなかで、国産野菜が使用されているはずの原材料に、中国産野菜が使用されていたらしいことを裏付ける産地証明書が出てきたとして、話はさらにこじれ、修復は不可能になる。そして昨年7月のZAITEN記事掲載に至る。以上は、主にZAITENの記事を参考にまとめてみたものである。
ここでOEM販売先である(株)チヨペットの成り立ちに触れておこう。
<「マネーの虎」で事業資金ゲット>
大阪を拠点とする(株)チヨペット(大阪市東住吉区)は、ペット用の飲料水やペットフードを販売している会社である。代表者の名前は千代(ちしろ)啓司。同誌の記事ならびに同社のホームページによれば、千代氏は04年、当時の人気テレビ番組「マネーの虎」に出演し、幸運を射止めた起業家のようだ。同社ホームページに掲載されているビデオでは、頭を下げて賞金を受け取る本人の姿が映されている。同社の主力商品は電解アルカリイオン水で、ペットのからだに良い水『ポチタマの水』として販売している。マネーの虎では、ペットの口臭を消すことのできる水としてのアプローチが効果的だったようだ。
「宣伝に来たとしか思えない」と否定的な意見を述べる審査員もいるなかで、最終的にマネー成立で起業資金を獲得することができたという。ビデオからは千代氏の起業に対する一心不乱な思いが伝わってくる。一方、日曜日の朝に放映されていた政府広報番組「新ニッポン探検隊」では、同社の移動式トリミングショップ「ポチタマカー」が紹介されている。電話一本でペットトリマーが家庭を訪問して、ペットの毛並みを整えるというアイデア商売である。全国展開の夢を語る千代氏の表情は、マネーの虎に出演した時とは打って変わって柔和な印象を与える。
以上、トラブルの概要とその背景を写してみた。ZAITENの記事を読むかぎりでは、いかにもアニマル・ワン側にトラブルの原因があるようにみえるが、ここには書き洩らされた多くの事実がありそうだ。
ZAITEN編集部に連絡をとったところ、掲載されたアニマル・ワンに関する記事はチヨペットの千代代表の言葉に基づいて執筆したもので、アニマル・ワン側のコメントはとっていないという。
そこで記者は、ZAITENとは違った視点からトラブルの真相を読み解こうと思う。
【田代 宏】
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