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特別取材

座談会・福岡のたたかう女性経営者(5)
特別取材
2010年11月 2日 08:00

この地で働く魅力とは 経済活性化に必要なもの

 男性が要職につく福岡経済の枠組みでは、これ以上の福岡活性化は不可能ではないか--こうした考えから今回、福岡で活躍する女性経営者による座談会を企画した。今の福岡の魅力と欠けているもの、女性ならではの視点から考える福岡の活性化策について、自身の経営と関連づけて語っていただいた。

<経営の原動力>

 ―最後に、今の仕事を通じて「こうして福岡を少しでも変えたい」という思いをお話しください。

 松下 博多駅広場の照明を例に言えば、人によって駅に降り立つ時間は違います。夜に着いた方々に「博多ってすごく素敵だな」と感じてもらえるようなものにしたいですね。それはどこかの真似事ではなく、オリジナリティのあるものにしなければなりません。
(株)松下美紀照明設計事務所  代表取締役 松下 美紀 氏 また、ネオンサインなどの企業のサインは全国すべて同じです。そういう場所ではどこに降り立ったのかわからなくなります。そうではなくて、屋外広告も福岡ならではの郷土愛に溢れたものにしていく必要があります。福岡から全国的に成功している社長さんもたくさんいます。そういう人たちが、地元にどんどんすぐれた広告を出せるような街にしていきたいと思います。
 景観アドバイザーとしての意見は、福岡の街を良くするために一生懸命頑張るのですが、企業は言うことを聞くのは義務ではなく意見が通らないこともあります。大手企業から「当社は全国これでやっているのに、なぜ福岡だけ認めないのか」と言われたとき、「そう言われても福岡では認められません」と突っぱねるくらいの力を行政が組織化する必要がありますし、それが街の個性だと思います。
 ドイツのローデンブルグのような古い街では、マクドナルドも赤色と黄色は使わず、景観に合ったデザインです。福岡の街にもそれくらいの強制力がなければ、独自性が出てきません。マイナスのデザイン、つまり余分なものをとり除きながらつくりあげるデザインが今こそ必要だと思います。そういう意味では、夜は分かりやすいですね。見せたくないものを消せますから。

対談のようす

 ―マクドナルドの例では、やはり企業の器の問題もあるかと思います。行政の問題と合わせて大事なことだと思います。

 権藤 私の仕事に関わることでは、待機児童の問題が取りざたされています。私はその解消だけが目的ではなくて、せめてお預かりした子どもたちが社会に出たときに、立派に働けるように育てたいと思っています。それには母親が関わってきますので、一緒に子育てを勉強してほしいですね。昔は当たり前だった「皆で子育てしましょう」ということを実践していきたいと思います。
 福岡の女性経営者は、本当に素晴らしい方たちばかりだと思います。そうした方たちともっと交流をもって、いろいろ勉強してたくさんの人たちに何かを伝えていければ良いなと思います。

 安東 私はたまたまデパートという流通のなかで福岡を見てきました。やはり物が動かなくなっていて、ある意味で物の豊かさばかり追いかけた結果だと思います。人の心よりも物で人を判断する―これは女性も悪いと思います。逆に、そういうこともひっくるめて物が動かないというのは、日本が大きく変わろうとするドラスティックな現象を突き付けられているのでしょう。そのなかで、我々は物の豊かさがなくなれば逆に心の豊かさを探すだけですから、ちょうど良い時期に来ているのだと考えられます。
 私の仕事では色を見ます。お会いした瞬間に皮膚の色などから健康状態、精神状態を判断し、服の色から体質や個性や気質などを見ます。カラーセラピーというのは、系統立てて文章化、知識化されています。
(株)アントレ 代表取締役 安東 友子 氏 そんな色の持つ力を考えたとき、「緑」というのは人が変化を求めて挑戦していく色とされており、時代の変化に対応するために必要です。それなのに、福岡は緑が減っています。たとえば街路樹が無意識的、潜在的に人に活力を与える源とすれば、やはりそれはもっと必要だということになります。これは、ちょっとした行政のジャッジメントで変わります。また、松下さんのお話しをお聞きして、色に加えて光も大切だと思いました。
 福岡を拠点にして世界で活躍する人はたくさんいます。そうした方たちとの素敵な出会いがありますと、その方に飽きられないように努力しようと思うことができるのです。それがまた、自分を突き動かしていく原動力になります。大都会と違って、そうした人との出会いのチャンスが、福岡にはたくさんあると思います。

(了)

<参加者 プロフィール>

安東 友子(あんどう ゆうこ)安東 友子(あんどう ゆうこ)

(株)アントレ代表取締役。1947年福岡市生まれ。75年に創業し、86年に法人化。現在はトータルビューティーサロンを福岡市内7店舗、その他2店舗経営している。日本で初めて百貨店に店舗を構えたエステサロンとしても知られる。2003年より、福岡市や財界の支援を受け、フランス・ボルドーとの国際技術交流を始めた。その他、NPO法人九州補完代替医療協会副理事など各組織団体の要職も多数務める。

[COMPANY INFORMATION]
(株)アントレ
所在地:福岡市中央区天神1-4-1 大丸東館エルガーラ4階
設 立:1986年9月
資本金:1,000万円


権藤 光枝(ごんどう みつえ)権藤 光枝(ごんどう みつえ)

(有)Branches代表取締役。1973年兵庫県生まれ。2000年、福岡市南区横手に保育園を開園(現在の井尻園)し、24時間保育所「リトルワールド」園長に。06年箱崎園、08年博多ぎおん園を開演し、現在は3園を運営。09年、全国商工会議所女性連合会主催の「第8回女性起業家大賞」で最優秀賞・日本商工会議所会頭賞を受賞。

[COMPANY INFORMATION]
(有)Branches
所在地:福岡市博多区蒲田2-2-23
設 立:2006年3月
資本金:300万円


松下 美紀(まつした みき)松下 美紀(まつした みき)

(株)松下美紀照明設計事務所代表取締役。1961年熊本市生まれ。89年、同社を設立。環境照明、公共や民間施設の照明設計、都市の照明計画といった光環境の創出を行なう。99年、福岡タワーのライトアップを手がける。この照明デザインで2000年に北米照明学会よりポールウォータベリー特別栄誉賞を受賞。アジア諸国で照明改善プロジェクトなどへ参加するかたわら、都市景観に関するアドバイザー、審議会委員、大学の講師なども務める。

[COMPANY INFORMATION]
(株)松下美紀照明設計事務所
所在地:福岡市早良区百道浜3-4-7-101
設 立:1989年6月
資本金:1,000万円

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