今回の参議院予算委員会では森林資源についても熱心な議論が展開されました。
日本の木材自給率は1965年には71.4%でした。しかし現在は27.8%。44%も下がっています。この間、木材の供給源である人工林は4.8倍も増えています。使うべき木材があるにもかかわらず、4分の3は外国産に頼るという矛盾した状況にあるのです。日本は国土の75%が森林。まさに「森林大国」です。新しい産業として格上げできる素地が多分にあります。
戦後焼け野原のなか、日本は植林を進めました。木には寿命があり、植林して60年前後で伐採すると良い木材になります。若い木は二酸化炭素をたくさん吸収しますが、老木になると吸収できなくなります。いまが伐採するときなのです。
伐採するためにはまず、路網(作業路)の整備が必要です。しかし十分な手当てができていません。木材を伐採し、搬出するには道と人と機械が必要です。いま日本の林業専従者は約5万人のみ。日本の資源を有効活用しきれていないのです。
食料と同じく、林業にも地産地消が必要ではないでしょうか。たとえば学校や役所などの公共施設建設に地域の木材を使う。森林資源は日本全国至るところに眠っています。東京の隣、埼玉県は県土の3分の1が森林です。森林の大供給地であり、同時に大消費地になりうるのです。地元で育っている木を使うことで森林再生にもつながります。成長産業になりうるのです。
かまぼこ板は1万キロ離れたドイツの黒い森から輸入していることをご存知でしょうか。国産木材を使うことで気候変動問題対策になり、安定的に木材を供給することが可能になるのです。自分たちの国の資源をもっと見直すべきです。
いまCOP10(生物多様性条約第10回締約会議)が愛知県名古屋市で開かれています。国土の保全という国益を守る機能を森林は果たしています。大事に育てるべきではないでしょうか。
<プロフィール>
浜田 和幸(はまだ かずゆき)
参議院議員。国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鉄、米戦略国際問題研究所、米議会調査局等を経て、現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選を果たした。
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