今年初めに中国社会科学院が発表した報告書によると、去年、中国でぜいたく品の消費総額が94億米ドルに達し、世界の27.5%を占め、日本に次いで第2位の座につきました。
そのなかでも上海は、中国の経済中心としてぜいたく品の都になりつつあります。町なかを散策すれば、軒を連ねる高層ビルに垣間見えるぜいたく品の広告が、隅から隅までインパクトを与えてくれます。ある意味で、上海はぜいたく品展示のベスト窓口になっています。
このぜいたく品ブームに乗って、近々、上海2カ所で超豪華ホテルが登場することになりました。
上海外灘華尔道夫酒店(Waldorf Astoria Club)
同ホテルの場所は、外灘2号で、20世紀の最初にあった「上海総会」の旧跡です。今回、保存された記録や写真にしたがって、大昔の様子に復元しました。ヒルトングループのトップクラス高級ブランドとしては、アメリカ本土以外の1軒目になります。
(1)見所
「極東最長バー・デスク」という愛称だったバーは、旧来の規格通りの110フィート(約33.5メートル)で、出来あがりました。店中には、世界中からセレクトした500本以上の上質なワインがコレクションされています。
また、2基の旧型・三角エレベーターが運転を再開しました。1910年製のエレベーターの復旧作業は困難を極めたそうです。現在、上海で唯一現役の三角エレベーターとなっています。
(2)記録刷新の値段
揚子江を挟んで、ウォーター・フロントの絶景を観賞しながら食事ができる宴会場は、結婚披露宴のホット・スポットにランク・インしています。今の試運営期間中、ひと組の食事は7,288人民元(1人民元=13円で換算すると、日本円では94,744円)とプラス15%のサービス料金をかかります。来年は2,000人民元ほど値上げする計画で、上海で一番高い結婚披露宴になると予測がなされています。
ホテルには今のところ、全部でスイートルーム20軒があります。一番安いのは一泊7,500人民元(日本円で97,500円)です。揚子江に面したルームになると、12,800人民元(日本円で166,400円)になります。
10月初めに予約が開始されて以来、毎日満室の状態が続いています。世界各国のエリート、VIPが主要な客です。来年4月の2期プロジェクトが完成後、本格的な開業になるそうです。
(3)業界の意見
「外灘の高級ブランドホテルは、単純な五つ星ホテルではなく、豊かな歴史や隣接する絶景が一番の売りになります」と、地元旅行局長は意気込みを語っています。「上海万博からの販売促進や新外灘の改造が、外灘ホテル業界に猛烈な勢いをもたらしてくれています」と、多数のホテル担当者が喜んでいます。
また、政府筋によると、ハイ・グレードのブランド、レストラン、ホテル、クラブ、文化施設が集中するのは、外灘区域の発展方針です。
(つづく)
【劉 剛(りゅう ごう)氏 略歴】
1973年12月生まれ。中国上海出身。上海の大学を経て、96年に地元の人材派遣会社に入社。10年3月より福岡に常駐。趣味は読書。
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