今月14日(日)に投開票日を控え、各者とも連日激しい選挙戦を繰り広げている福岡市長選。今回、候補者本人たちの舌戦についてはひとまず置いて、ポスターのデザイン的な視点から、福岡市長選を見てみよう。
□吉田宏氏
現職・吉田宏氏のポスターは、他の7人のポスターと比べて「異質」な印象を受ける。というのも、他の候補者の写真がすべて正面を向いているのに対し、同氏の写真のみ「あさっての方向」を向いているのだ。これは穿った見方をすれば、「市民と目線を合わせる気がない」「市民と向き合おうとしていない」ともとれるポスターだ。4年間の市長任期中、「無能」「存在感がない」と揶揄されるほど、市民と向き合ってこなかった同氏。ある意味で、そんな同氏の姿勢を如実に表しているポスターとも言えよう。
□荒木龍昇氏
最後の荒木龍昇氏のポスターは、一言で印象を言えば「黒い」。単に本人写真に「キリヌキ」加工が加えられておらず、元の写真の背景がそのまま活かされているためなのだが、他の候補者の「白い」ポスターと比べて、良くも悪くも目立つ。また、おそらく講演中か何かの写真なのであろうが、1人だけマイクを持っている姿も「パフォーマンス」的な印象を受けてしまう。キャッチコピーは「チェンジ!福岡」とストレートでわかりやすく悪くないのに、マイナスポイントに目が行ってしまうのは残念である。
以上、学生時代に聞きかじった視覚記号学の知識も交えながら、各候補者のポスターデザインについて論じてみた。多少私見が入ってしまった部分もあるが、そこはご容赦願いたい。
もちろん、デザインはデザイン。その良し悪しによって、各候補者の人柄や政策の良し悪しまでもが左右されるわけではない。しかし、人間は外界からの情報取得の実に8割を視覚に頼っているのに加え、選挙期間中は街頭演説等をのぞけば、候補者の姿が一番市民の目に入るのが各ポスターである。やはり、市民に対して良いイメージを伝えるための配慮も必要なのではないだろうか。
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選挙ポスターから見る市長選(上)~福岡市長選アラカルト(44)
選挙ポスターから見る市長選(中)~福岡市長選アラカルト(45)
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