<企業理念に命を吹き込め 3>
積水ハウスは、今後100年に向けて成長・持続するためには「企業の存在理由を明確にして活動の指針とし、社員を同一方向に向かわせ、元気を高める力を持っている」という企業理念・使命が必要なのだ。経営トップに売上至上主義の考えが中心にあるならば、企業の永続は期待できない。
積水ハウスでは現在、「環境、エコ」を前面に打ち出して企業理念にしているかのように見えるが、それは積水ハウスの企業理念「人間愛」の一部にすぎない。50周年を機に、今一度、積水ハウスのトップ企業としての崇高な企業理念を、全従業員へ再構築することを目指すべきだろう。20年前、積水ハウスの実質上の創業者・田鍋氏が、自身の経営者としての経営哲学の集大成として作り上げた企業理念である。その思想・使命感が明確に全社員に浸透すれば、経営者が迂闊にも私利私欲に走ることもなく、自分の才知・地位を誇り威張ることもないだろう。
長期的に成功し、尊敬を受けている企業の経営者は、社会や人間に対し深い洞察力がある。私利私欲を超え、自らは清貧に甘んじ、国鉄解体を行なって今日のJRを築いた東芝の土光敏夫氏。経営の枠を超え人間の本質を考え続け、PHP、松下政経塾を創設したパナソニックの松下幸之助氏。作業服を着て、現場主義に徹したホンダの本田宗一郎氏。会社と社員は運命共同体であり、社員、工事に携わる職人が大切として人間を大事にした積水ハウスの田鍋健氏。彼らに共通しているのは、「生きる信念」、「人間としての哲学」、「経営者としての使命」だ。
彼らはいついかなる時も妥協せず、仕事、人生に、命をかけて、自分たちの意思を貫徹した。時代がどうなろうと、バブルだろうと、変節することはなかった。
【野口 孫子】
※これは積水ハウスにエールを送るものであり、誹謗中傷するものではありません。
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