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特別取材

【特別連載】積水ハウス50周年への提言~100周年へのさらなる飛躍を目指して(18)
特別取材
2010年11月12日 16:00

<企業理念に生命を吹き込め 5>

 今、積水ハウスに必要なのは、野盗のごとく、大和ハウスから首位の座を奪い取る激しい闘志だろう。一度抜かれた者が追いつき、追い越すのは至難の業である。マラソンでトップランナーが後続に追い抜かれたら、逆転はほとんど不可能に近いのと似ている。

 積水ハウスは内向きで、世渡り上手な社員が幅を利かす、そんな風潮が蔓延していないだろうか。田鍋氏亡き後、経営理念が経営者に理解されていない、または、表立って企業理念を積極的に打ち出すこともなかったのではないだろうか。

 経営理念とは経営者の志の高さ、深さから出てくるものであり、積水ハウスの存在理由を明確にし、積水ハウスの活動の指針となり、全社員を元気にして同じ方向に向かわせるものだ。人事の方針もこの理念のなかで実施されるものである。決して情実人事、ごますり人事はあり得ない。もし、そのようなことが行なわれたならば、人心は一気に離れてしまうものだ。積水ハウスの力が弱まっているのは、案外このようなところにあるのではないだろうか。

 高度成長時代の昭和の経営とバブル崩壊後の平成の経営とは、環境がまるで違う。今の経営者は難しい。時代の変化が激しく、迅速に決断し対応する能力を要求されている。
積水ハウスの企業理念は創業時代の経営者の熱い思い、「お客様のため」、「世のため」、「人のため」、「働く社員のため」、「きつい現場で働く職人ため」、その一念に染め上げられている。この一念が、やがてお客様の信頼を得、社会の認知を得て、今日の大企業に成長したのである。

 時代は変わり、現代の激動な時代だからこそ、声高に企業理念を叫ぶ時だと思う。トップダウンで物事が進むと思うのであれば、一流の経営者とは言い難い。ゴーイング・コンサーン、企業は継続せねばならない。企業理念は基本思想を守りつつ、時代に合わせつつ、変革せねばならない。50周年を機に、100周年に向けて、新たなスタートを切ってほしいものだ。

(つづく)

【野口 孫子】

※これは積水ハウスにエールを送るものであり、誹謗中傷するものではありません。

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