「画面に映った自分の顔が、瞬時に変身する」「手を動かすと、画面のなかの物体に触れて動かすことができる」「画面上の自分の顔に、キャラクターがキスしてくれる」「自分の動きの後を追うように、幾重にも残像が残る」「体を動かすと、あたかもマンガのように手や体が炎に包まれる」―などなど、「見る人」がそのまま「主人公」になってしまうインタラクティブコンテンツ。これらを手がけているのが、(株)しくみデザイン(福岡市博多区)である。
同社のコンテンツの特徴は、そのインタラクティブ(双方向)性にある。仕組みとしては、まずカメラなどのデバイスで映像を取り込む。そして、その取り込んだ映像を用途に応じて顔検出や動き検出を行ない、それにともなったさまざまな画像処理を加える。これらの処理をリアルタイムに行なうことで、見る人の反応・動作をすぐさま反映することのできるコンテンツとなるのだ。子どもはもちろんのこと、大人でも自分の姿がイジられた映像にはふと目をとめてしまうもの。そのため、同社のコンテンツの注目度は非常に高く、広告や集客などの媒体としては抜群の効果を発揮する。
実際にこれらのコンテンツは、実にさまざまな場面で活用されている。街中の大型ディスプレイを利用した大規模なプロモーションから、地下街やイベントスペースでのインタラクティブCM、各種イベント会場での展示ブース、博物館・アミューズメント施設でのコンテンツ、子ども向けのゲームコンテンツ、お年寄り向けのリハビリプログラム、さらにはアイドルグループ「SMAP」の全国コンサートでリアルタイム映像効果としても使われた。また、同社のコンテンツは対外的な評価も高く、第22回「中小企業優秀新技術・新製品賞」を始めとしたさまざまな賞も受賞している。
芸術工学博士でもある同社代表取締役の中村俊介氏は、学生時代に「誰でも」「体を動かすだけ」で「音楽を奏でる」ことのできるインタラクティブアート「神楽(かぐら)」を制作した実績を持つ。この「神楽」が、同社のコンテンツの言わば原型である。
現在、同社の活躍の場は関東・関西圏が主であり、地元・福岡での展開はまだまだ少ない。それについて中村氏は、「現在、首都圏を中心として認知度はだいぶ高まってきましたが、残念ながら地元・福岡での認知度はまだまだです。今後は、福岡での展開も広めていきたいですね」と語る。
「世のなかを楽しくする『しくみ』をデザインしていきたいと考えています。少しの『しくみ』を加えることで、何でもない場所が楽しい場所になり、みんなが外に出たくなる街へと変わる。そんな笑顔がいっぱいになるような仕掛けを、いろいろなところにつくっていきたいですね」と、中村氏。街中に笑顔をあふれさせる同社の『しくみ』が、これからもさらに広がっていくことを期待したい。
【坂田 憲治】
[COMPANY INFORMATION]
(株)しくみデザイン
代 表:中村 俊介
所在地:福岡市博多区博多駅前4-8-15
TEL:092-474-0153
URL:http://www.shikumi.co.jp/
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