<高島氏にとっては、棚からぼたもちの強運>
高島氏は、大分県の田舎の方で祖父が政治家であった関係で、学生時代から国政への関心があったそうだ。「出馬のチャンスをうかがっていた」ことは、勤務していたKBCの同僚からも証言を取った。
そこに、降って湧いたような福岡市長選への立候補の打診が、自民党サイドからなされた。石村・津田両幹部は必死であった。2人にしてみれば、自民党推薦候補者を確保できなければ、面子丸潰れだ。高島氏の前に市長選への立候補を打診され、それを断った経営者は怒っていた。「あんな若造と同じ扱いをされていたのかと思うと、頭にくる」と。それだけ、保守本流を自任する2人の古参幹部は、配慮心すら忘却するほど追い込まれていたのである。
本来であれば、自民党サイドは若造・軽薄類には声をかけない。にもかかわらず、今回高島氏に懇願した事実は、裏を返せば同氏の強運の現れであろう。
8月25日、この「NetIB NEWS」で高島氏が立候補する旨を報道した。同氏曰く、「問い合わせが続出して、その夜からホテル住まいになった」そうだ。その日から高島氏の新たな政治家への挑戦の火蓋が切られた。当初は自民党市議団も若造に戸惑いを感じていたが、最近は熱心な選挙活動が円滑になっているようだ。
さて、まずは落選した場合はどうなるのか。高島氏の運命は、さほど深刻な事態に陥ることはない。負けるとしても惨敗はなく、接戦だ。であれば、次は「高島氏の本懐=国政への道」が近づく。逆に、勝利した方がジェットコースターの人生が待ち構えている。歴代の福岡市長とは比較のしようがないほど、若手の新市長の誕生になるからだ。高島氏が地を出さずに、平々凡々に市政の運営を行なえば波風は立たない。ただしその場合、福岡都市力は確実に衰退をなす。
しかし、高島氏は元気な男の子だ。個性を発揮した市長として、活躍をするのではないか!!そうなると、自民党市議団というよりもむしろ、老兵議員達との激突が懸念される。
高島市長の誕生は、石村・津田両幹部にとっては面目躍如になる。ただし、安心状態は一時の凪(なぎ)。2人は「鵜飼いの匠」として、高島新市長をどう束ねるかが注目されるようになる。
おそらく、強運の持ち主である高島新市長は、自分からジェットコースター人生を求めていくであろう
<もう一期耐えればよい、気楽な木下氏>
佐賀市長であった木下氏が、一番気楽なポジションにいるのではないか!!この人が、一番ブレない。「福岡市長として、行政マンとして、腕を振るおう」という信念には、一点の曇りもない。もし当選すれば、福岡市政の再生をやりぬくことを一番期待できる傑物である。福岡市民にとってハッピーな結末になる。
もし、落ちたならばどうなるのか。高島氏と同様に、最悪の惨敗ということにはならない。次への権利を留保できる惜敗だ。その場合、木下氏の選択の道はただひとつ。4年間、福岡市民として留まることである。
立候補を表明した序盤戦では、「どうして佐賀市長選の敗北者が福岡にきたの?」と否定的なキャンペーンを打たれた。まー次の選挙までの4年間、ベンチャー企業の支店長として生計を立てることだ。そうなれば、「よそ者批判」もなくなるだろう。
「木下の力を活用したい」という時代の要請が、必ずやってくる。次回の選挙でも、木下氏はまだ54歳だ。
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