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【特別連載】積水ハウス50周年への提言~100周年へのさらなる飛躍を目指して(19)
特別取材
2010年11月14日 08:00

<経営者は徳で治めよ 1>

 積水ハウスが100周年へ向け、栄光ある企業として生き残るためには、経営トップの資質、理念、哲学がどうしても必要な要件だと思う。名経営者と謳われた人々は、例外なくこの要件を備えている。経済学者のドラッカーは、「経営トップがなさねばならない仕事は、学ぶことができる。経営トップが学んでも学べない、しかもどうしても身につけなければならないものが、天才とか才能でなく、品性である」と言っている。

 積水ハウスは高邁な経営理念を掲げており、それは人々の幸福と社会の発展を願うものである。この理念を心底から信奉し、その実現を自らの人生最大の使命とするとき、高貴な仕事、貴業となる。トップ経営者がこの企業理念に真摯に生きようとするとき、おのずと、透明度の高い倫理性、ドラッカーのいう「品性」が香り立つのだろうと思う。そこには卑しいことは存在しない。

 パナソニックの松下幸之助氏が「百人までは命令で動く。千人になれば頼みます。一万人にもなれば、拝む心がないと人は動かない」と言っている。この拝む心が経営者の品性、人格の香りがして、人々は抵抗なく従うのだろう。「魚は頭から腐る」と言われるように、会社組織もトップが腐れば自然に衰退に向かう。

 積水ハウスは50年をかけて、業界のナンバーワン、ナンバーツーとして業界をリードしてきた。これからの50年、予測不能の変化に見舞われれば、この地位を維持できるかどうかわからない。現に積水ハウスは数年前から、1位の座から2位の座に落ち込んでいる。何らかの問題が内部にあるのかもわからない。

 トップが先陣をきり、改革の旗を掲げ、汗をかかねばならない。そうでなければ誰もついてこない。社員はじっとトップの背中を見ている。「なんとしてもわが社を蘇らせる。再び栄光の座を奪還する」という改革へのチャレンジをする熱意が不可欠だ。昔の経営者のように、部下に命令し、威張っている時代ではない。そのようなトップを戴く会社は遅かれ早かれ、市場からの退場を余儀なくされるだろう。

(つづく)

【野口 孫子】

※これは積水ハウスにエールを送るものであり、誹謗中傷するものではありません。

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