きょう(14日)、福岡市長選の投開票が行なわれる。前福岡市教育長・植木とみ子氏(61)が撤退し、最後まで戦った市長候補は7人となったが、それでも戦後最多の数となる。
各陣営の選挙戦は、まさに混戦・激戦の内容だった。立候補表明時、「身の丈にあった選挙がしたい」と述べていた元アナウンサー・高島宗一郎氏(36)は、いつの間にか自民、公明の公認候補並の政党の後押しを得た。最終日、選対本部最高顧問の麻生太郎元首相は「福岡市民のためじゃない、日本国民のためになる」「国政選挙に匹敵する」と述べ、同選挙が与野党の対決とするイメージを強調。同日は、石破茂政調会長も来援し、高島氏とともに新天町商店街(中央区天神)を練り歩き、自民党と高島氏への支持を呼びかけた。
対する民主党と同党が推薦する現職・吉田宏氏(54)の陣営も、民主党政権の支持率急落という逆風を受けるなか、党の著名議員が来援し、自民党の国政と直結させる考えを否定。夕刻に行なわれた中央区天神の街頭演説では、渡辺周選対委員長が福岡市政の将来を決める選挙とした。しかし、その後演説を行なった蓮舫行政刷新担当大臣は「中央と地方の主権のあり方を、まずは菅内閣とこの福岡市から実現することから、福岡が堂々と力ある新しい市に、あした(14日)にして頂きたい」との呼びかけを行なうなど、苦戦の様子がうかがえる党として一貫性のない応援演説が行なわれた。
また、応援を受けた吉田氏は、涙(?)で声をつまらせながら、1期4年をまじめにコツコツとやってきたと演説。苦労話で同情を誘い、聴衆へ支持を訴えた内容からは、7人もの新人の挑戦を受けて立った現職の苦闘ぶりが感じられた。
一方、無所属での出馬となった元佐賀市長・木下敏之氏(50)は、政策本位のスタイルを強調。最終日も「政策を市民に届ける」として、福岡市内各地を転戦。自転車遊説や頻繁に演説を行なうなどして、佐賀市長と事業仕分け人の実績とそこで培った実行力を背景とする具体的な政策を丁寧に説明して回った。
共産党の推薦で、市民派を前面に出す西福岡・糸島民主商工会事務局長の有馬精一氏(59)は、14日間、実直な人柄がうかがえる小まめな街頭演説活動を展開。「暮らし応援で景気回復」からはじまる選挙公約を熱弁した。
選挙ポスター貼りをひとりで行なった塾講師・飯野健二氏(49)のもとには、そのひたむきな姿勢に共感した有志が集結。「1票の重みを感じる毎日だった。立候補した以上は、圧力をはね返すぐらいの覚悟が必要。お金は返せるが、(支援者の)貴重な時間は返せない」と、逆境にひるむことなく戦い抜いた選挙戦を振り返った。
元福岡市議・荒木龍昇氏(58)、元人材育成会社講師・内海昭徳氏(32)は大勢の人が行き交う市内中心部で、熱心な支援者とともに最後の訴え。それぞれの政治姿勢、選挙公約を市民にアピールした。
投票はきょう(14日)の午前7時から午後8時まで。ちなみに、投票率は2006年の前回市長選で42.57%。有権者数は、福岡市選管調べで112万7,359人。
▼関連リンク
福岡市長候補・選挙公約(1)~有馬精一氏
福岡市長候補・選挙公約(2)~高島宗一郎氏
福岡市長候補・選挙公約(3)~木下敏之氏
福岡市長候補・選挙公約(4)~植木とみ子氏
福岡市長候補・選挙公約(5)~内海昭徳氏
福岡市長候補・選挙公約(6)~飯野健二氏
福岡市長候補・選挙公約(7)~吉田宏氏
福岡市長候補・選挙公約(8)~荒木龍昇氏
※植木とみ子氏は、選挙運動を停止していますが、公職選挙法上、立候補は取り下げられないため、候補者として掲載いたします。
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