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瀬戸内に浮かぶ「アートの楽園」―直島の魅力とは?
自立する地域社会
2010年11月18日 08:00

直島の海 瀬戸内海に浮かぶ香川県・直島(なおしま)。周囲約16km、人口3,300人ほどの小さな島であるにも関わらず、「現代アートの島」として現在、国内外からの注目を集めている。世界的な旅行誌「Traveler」における「次に行くべき世界の7カ所」の1つとして、「Paris(パリ)」や「Berlin(ベルリン)」、「Alexandria(アレクサンドリア)」、「Dubai(ドバイ)」などの世界の著名な都市と並び、「Naoshima Island」と直島が紹介されたことがあるほか、レイモンド・ベイソン著の「007シリーズ『赤い刺青の男』」では、物語後半でG8サミットが開かれる会場として直島が出てくる。また、今年7月19日~10月31日の期間で開催された『瀬戸内国際芸術祭』では、当初7島(直島、豊島、女木島、男木島、小豆島、大島、犬島)直島の港合わせて約30万人の観光客を見込んでいたものが、同期間中は直島だけで約29万人の人々が訪れるなど、予想をはるかに超えた観光客で賑わったという。
 国内・海外を含めて広い認知度を誇る直島であるが、何が人々を魅了してやまないのだろうか。

 直島の魅力を語るうえで欠かせないキーワード、それは「現代アート」である。同島では、(株)ベネッセホールディングスと(財)直島福武美術館財団による様々な現代アート活動――「ベネッセアートサイト直島」が展開されており、島内各所に「地中美術館」や「ベネッセハウス」、「家プロジェクト」といったアート施設が点在する。これらの施設では、モネの「睡蓮」をはじめ、世界に名だたるさまざまな一流アーティストの作品を目で見、肌で感じることができ、連日多くの観光客が訪れている。
 しかし、直島がスゴイのは、それら強力なアート施設の「点」の威力だけに留まらないところである。それらアート施設を結ぶ動線上――島内の至るところにアートな仕掛けが施されており、「点」―「線」―「面」としてアートな空間を形成しているのだ。島内の民家の玄関口に掲げられている「屋号」や「のれん」、随所に散りばめられたちょっとしたアート作品、島内に移り住んだアーティストが開いている個展、路地を入り込んだところにたたずんでいるカフェなどなど。

空き缶アートデザイン性のある屋号

 まるで、直島という「アートの結界」に囚われたような気分にさえなってくる。しかも、我々からすると非日常的なその空間が、好奇心を大きく刺激すると同時に、何とも言いようのない安らぎを与えてくれる。これが、人々を惹きつけてやまない、直島の魅力の一つであると感じる。

路地にたたずむカフェ壁に描かれたアート

 「人の温かさ」――これも、直島の魅力である。かつて讃岐へ配流される途中に立ち寄った崇徳上皇が、島民の純真素朴さを賞して「直島」と命名したという逸話も残されているが、離島という閉鎖的な空間であるにも関わらず、この島の人々は実に温かい。困っている観光客がいれば積極的に声をかけて助け、何か尋ねられれば丁寧に応対する。民宿では、たとえ夜間に飛び入りで外国人が訪ねてきても、空き部屋があれば快く迎え入れる。小学生の子どもでさえ、外国人に対しても物怖じせず案内役を買って出るという。
人なつっこい猫 実際に取材で直島を訪れた際、くしくも島内の各店が定休日のため昼食どころに困っていたところ、とある路地裏のカフェの店員が声をかけて招き入れてくれた。また、島内を歩き回っていたところ、あたかも登山客同士が山中でするかのように、観光客同士が互いに挨拶を交わす光景もよく見かけた。島民の温かさが観光客にも伝播し、直島全体を包み込んでいるかのようだった。

 このようにさまざまな魅力に溢れた直島は、「地域活性化」の一つのモデルケースと言えるかもしれない。今回、直島現地でさまざまな方にお話をうかがい、多面的な視点から「地域活性化」に取り組むうえでのヒントを模索してみた。もちろん、直島は直島、この島のやり方をそっくりそのままコピーしたところで、それは単なる二番煎じにすぎない。直島の風景また、地理的要因や歴史背景、そして人的・企業的な要素など、さまざまな要因が複雑に絡んでいる直島のやり方を、そっくりそのままコピーできようはずもない。
 しかし、「地域活性化とは何か」という本質をとらえることができれば、きっと各地域ごとの「地域づくり」の助けとなるはずである。

 弊社発刊の『企業特報「I・B」2011年新春特別号』(12月24日発刊予定)では、『人の想いが地域を変える~地域振興の現場から~』という特集を組み、直島の事例を含めて、地域づくりの実態や地域づくりに奮闘する方々の様子を掲載する予定である。

【坂田 憲治】


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