(株)ピー・アンド・アール 代表取締役社長 小谷 俊一 氏
<地域のメリットのために立ち上げた 通販サイト『九州・沖縄よかもん市』>
今でこそ、生活のなかでごく当たり前となった、通販型オンラインショッピングコミュニティ。その黎明期であった1999年、九州と沖縄の特産品に特化したショッピングモール『九州・沖縄よかもん市』の運営を開始したのが、「株式会社ピー・アンド・アール」の小谷社長であった。肉やハム、果物といった食品やチーズなどの乳製品、酒類や伝統工芸品にいたるまで九州・沖縄に限定した選りすぐりの商品をネット上で販売。それを全国に広め、地域振興を支援することを志としスタートした。インターネットをチャネルにした通販の認知度がまだ低かった当時において、すでに約250社もの参加社を得た。
「大切なのは、地域密着、信用と信頼、生産者の顔が見える、ということ。それはいずれ、商品力の高さを積極的にPRできるという点へと必然的に集約されます」と小谷社長。採算重視で結果を焦れば成功にはつながらないと腹を決め、地元の生産者を対象に無料のパソコン教室なども開催してインターネットへの「アレルギー」を取り払いながら、参加社の拡大にも努めた。ネット販売に対する不信感を一掃し、利用者から安心・信頼されるサイトとして認識されるよう、セキュリティーを高めることにも腐心した。人間本来の喜びである人と人とのかかわりを大切にし、人と人、人と企業、人と社会を世界に結び、新しい喜びや新しい価値を創造することを理念とする同社にとって、地域の生産者にメリットを付与できる新しいスキームの構築は、ごく自然な流れであった。
「しかし、『よかもん市』は12年前のコンセプトなんです。契約企業が10万社を超える楽天市場などとの差別化を打ち出し、生き残りを図るための適正化を図る必要があります」。
<福岡で仕事を続けられるのは運と運命 愛着を持って地元への『恩返し』を>
ネット通販の存在が当然になった今、地域の生産者にメリットがあるという存在意義と付加価値を、小谷社長は常に自らに問うている。このような景気状況のなかで、地元にお金が落ちる仕組みを維持し、そして地元の企業を元気にするためにはどうすべきか―。
「私たちはこの福岡でPRの仕事をし、生活を地域の企業や皆さまに維持させてもらっているわけですから、地元に対する『恩返し』の考え方が必要なんです。だから、景況が悪いなかでも次を目指して、成長していくという気概を持って日々の仕事に取り組んでいます」。
小谷社長の口から何度も繰り返して発せられたのは、「いかに周囲の環境や人々にお返しをしていくか」ということ。地元福岡で長らく仕事を続けているという『運と運命』にとことん愛着を感じているのだ。そんな小谷社長に、今の福岡に必要なものは何かを尋ねた。
「今、地域に求められるのは新しいリーダーなんです。いいことばかり言っても良くはなりません。これだけ市場が低迷すれば、毒をもって毒を制するような荒療治も必要でしょう。『今こそ挑み戦い、みんなで我慢して頑張っていこう』とはっきり言い、そして市民を牽引してくれるリーダーが出てくるかどうか。私は、そういう人に望みを託したいと思っています」。
<プロフィール>
小谷 俊一 (こたに しゅんいち)
1948年11月30日生まれ。67年3月30日、佐賀県立唐津工業高校を卒業。1989年、「株式会社ピー・アンド・アール」を設立。
<会社概要>
(株)ピー・アンド・アール
代表者:小谷 俊一
所在地:福岡市中央区赤坂3-9-24
設 立:1989年4月1日
TEL:092-738-8000
URL:http://www.pandr.ne.jp/
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