リーマンショック以降、大幅に減少した建築需要は日々報じられる建設業者の破綻となって現れている。このうち、鉄筋の加工と施工とを受け持つ鉄筋工事業者は、大規模な設備投資が比較的少ない業種である。そのため手形を用いる業者が少なく、それゆえ破綻しにくい業種であると言われてきた。
しかし、ここ数年の仕事量の激減で、ひっそりと姿を消す業者も少なくない。関東地区ではこの1年で19社が廃業ないし破産を余儀なくされ、全国的に見ても40万人いた鉄筋工は27万人にまで減少しているという。この傾向は九州・福岡にも共通しているが、他方で人手不足の問題も生じ、それが一部の現場での単価上昇となって現れてきているとの話も聞かれる。
原価割れの安値受注で仕事を大量に抱えながらも薄利ないし赤字を強いられる業者がいる反面、歯を食いしばって適正価格を訴え続けてきた業者の苦労がようやく報われる兆しも見られる。
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