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特別取材

【特別連載】積水ハウス50周年への提言~100周年へのさらなる飛躍を目指して(25)
特別取材
2010年11月24日 11:27

<最高経営責任者CEOの役割 4>

 英国・オランダの石油メジャー「ロイヤル・ダッチ・シェル」が、日本の三井、住友、ドイツのシーメンス、アメリカのデュポンなど、企業年齢が200年という企業27社を選び、分析したデータがある。100年以上もビジネスを続けている長寿企業は、企業金融では現金重視、新規事業参入に対しては寛容、企業を取り巻く経済の変化には敏感であるという、共通している特色があげられる。
 さらに、このデータで結論的に述べられているのは、歴代経営者の資質の良さだ。「長寿企業の経営者たちは、会社の価値を資産の多さに置くのでなく、人間に置いていたことだ」――この人的資産を尊重するという軸足のぶれない企業理念を最大の武器にしていることが、長寿企業の特色なのだ。人材重視という不変の企業理念を持ち、時代の変化に対応力を持っているのである。

 積水ハウスの企業理念「人間愛」は、人を大事にすることを宣言している。
 長寿企業に共通している理念と符合するところであるが、創業社長にはっきりとした意思があったとしても、現在の最高経営責任者がこの理念を心の底から共感していなければ、長寿企業に比べて、変化に対応することは難しいことなのかもしれない。良質の経営者にバトンタッチができなかった、ということになるかもしれない。

 今、日本経済全体が「不安の経済」に覆われている。失業率も高く、社内失業も入れれば欧米並みと言われている。最近では従業員のクビを切るのももてはやされ、クビを切ると株価も上がるという奇妙な現象が起きている。自分の経営のまずさを頬かむりして、大義名分のもとにリストラを行なったり、子会社への強制的な異動などで切り捨てている。それは、その場凌ぎで短期的な効果はあったとしても、長期的には人心が乱れていく。その結果、その企業は変化への対応力を失い、やがては市場から去っていくようなこともあるかもしれない。

 古代アテネのペリクレスが、「栄光の冠は公益のために、権力や富はもちろん、生命をも捧げることによって与えられる」と言っている。
 最高経営責任者の栄光は、権力や富で評価されるのでなく、人間力によるものであるということだ。アレクサンダー大王は「栄光は永遠だ。だが、立身出世の栄達は権力のあるときだけ、金を使っているときだけ、人々から尊敬される」と言っている。

 最高経営責任者は私心を捨て、会社や従業員のために生命をかけてこそ、真の経営者と尊敬されるものだろう。

(つづく)

【野口 孫子】

※これは積水ハウスにエールを送るものであり、誹謗中傷するものではありません。

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