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福岡への提言

才能を引き出す仕組みづくりを~福岡大学・阿比留教授
福岡への提言
2010年11月24日 14:49

福岡大学 経済学部産業経済学科 教授 阿比留 正弘

福岡市城南区にある福岡大学 大学時代に私は、後に恩師となる先生と出会い、経済学とは「Social Pathology」=社会病理学だという話を聞きました。社会がどんな問題で苦しみ、社会の病気はどのようなメカニズムで引き起こされているのかを調べ、治すことが経済学者であるというのです。その恩師との出会いは新鮮でとても感動し、社会の病気を治す医者になりたいという気持ちで経済学者を志したのを覚えております。しかしながら、私が所属している経済学の学会は経済学を社会病理学と考えている訳ではありません。1984年に福岡大学に就職して以来、普通の経済学者としての活動を行なっていました。初心を忘れているのではという気持ちがずっと心の中に居座り続けていました。
 ターニングポイントは1998年、通産省(現、経済産業省)は「若者会社をつくろう」というシンポジウムを全国縦断で行なっていました。このイベントが福岡大学にきた時、私がコーディネーターを務めることになったのです。孫正義氏の弟など著名な企業の経営者を招き講演等をしていただいたのですが、その時参加した学生のひとりが非常に熱心に活動を開始したのです。彼は高木政利君と言って現在福岡市内で投資顧問会社の社長をしています。その後彼は大学に経営者を呼んで講演会を行なうようになりました。また彼は、福岡ベンチャーマーケット主催のビジネスプランコンテストに応募し学生で初めて採用されました。彼の取り組みを見て、これは面白いと思い、翌年から地元経営者に学生の動機付けをお願いし、学生にはビジネスプランの発表を目標に活動するという「ベンチャー起業論」が始まったのです。この講義を始めてからは、企業は社会の不便、不満、苦痛、不快感等の問題を便利、満足、癒し、快感等に変えており、経営が恩師から教えられた社会病理学だと思えるようになりました。現在、身近にある問題や課題を発見し解決策を提示する「ビジネスプランコンテスト」や学生が地元企業へのインターンシップの経験を元に企業の問題・課題に対する解決策を経営者に提案する「対決」等を行なっています。これらの取り組みを通じ「社会病理学者」になるという私の夢を実現できていると実感しています。
 今の学生はすごく元気がなく、このままだと日本はだめになってしまうのではないかという危機感があります。しかし一方で、スポーツ界などでは若い人たちが国際的に活躍しています。このように考えると、学生の能力が低下したのではなく、スポーツ以外の世界では才能を発揮する舞台が準備されていないのではないかと思えます。自分の資質や強みに気づいた人は能力を発揮します。ですから私は、その人が持つ力に気づくようなきっかけづくりを重視しています。講師には私自身がすばらしいと感激するような方をお呼びし、学生にはできるだけ多くの現場を与え
ます。現場を体験し学生主体で運営するなかで、自分の魅力を発見してもらいたいと思っています。現在20近いプロジェクトが進行しています。チームワークが良くとれておりとても積極的な活動をしているグループとそうでないグループに分かれます。すばらしい成果を出すチームには特徴があり、それは、学生が優秀であると言うより、受け入れ企業の経営者がどれだけ愛情をもって学生に接してくださるかに大きく影響を受けます。若者を社会の大きな財産だと考えて、その教育に情熱を向けていただけるような方にぜひ協力していただきたいと思っています。

<プロフィール>
阿比留 正弘 (あびる まさひろ)阿比留 正弘(あびる まさひろ)
1953年5月生まれ。77年、青山学院大学経営学部卒業。現在、福岡大学経済学部産業経済学科教授。学生ベンチャーの立ち上げを目指す実践的な講義「ベンチャー起業論」をいち早く開講し、注目を集めている。

<学校概要>
福岡大学
所在地:福岡市城南区七隈8-19-1
創 立:1934年4月
TEL:092-871-6631
URL:http://www.fukuoka-u.ac.jp/


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