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【特別連載】積水ハウス50周年への提言~100周年へのさらなる飛躍を目指して(26)
特別取材
2010年11月25日 14:35

<最高経営責任者CEOの役割 5>

 積水ハウスがトップの座からすべり落ちたのは、現最高経営責任者が10年前に就任してから数年後だった。本来、力がある最高経営責任者なら、数年のうちにトップを奪い返すものだが、しかし、以来2位に甘んじたままだ。
 原因は何であれ、結果責任はすべてトップの責任に帰すのではないか。人間愛という崇高な理念を掲げながら、理念の実行をおろそかにしていなかったか。

 松下幸之助さんが「豊臣秀吉やナポレオンなど100年か200年に一度生まれるかどうかの人や、あんな偉い人が失敗したのはなぜか分かるか。それは、後ろに怖い人がいなくなったからや。あんな偉い人も、怖い人がいなくなったら失敗するもんや」と言っている。
誰もが権力を持つと陥りがちな性向、「心のおごり」がある。CEO、社長のトップに起こりがちな一種の病気である。

 また幸之助さんは、最期の近い病床で、決算報告に行った役員に「松下の従業員は幸せにしているか」と問われた。創業者の求めたもの、これこそが究極の課題ではなかったか。
従業員が幸せであるためには、まず利益を上げてなくてならない。お客さまをはじめ、周りの人に支持されている会社でなくてはならない。そして何よりも、経営者たちと従業員の心が通じ合っていなければならない。
 
 企業価値、エコの取り組み、CSRも大事だが、企業を実体構成している従業員がやる気になっていることが一番大切だ。経営者が旗を振るだけではダメで、従業員がその気にならなければ満足のいく成果は得られない。
 経営者が従業員を大切にしない限り、やる気が会社に溢れるという社風は生まれない。
 「従業員は幸せに働いているか」、これが経営の原点ではないかと、元パナソニックの副社長平田氏も言われている。
 
 人間3年も権力を持てば、馬鹿になると言われている。馬鹿の由来も、司馬遷の「史記」
に、皇帝をも凌ぐ秦の権力者、趙高が皇帝に「馬です」と言って鹿を献上した話から来ている。他の重臣たちは彼の権勢に恐れおののき、「その通り、馬です」と異口同音におもねったことの故事から来ている。
 
 会社は極めて非民主的な社会である。賛成多数で決めることはない。経営計画も役員の選出も、部長の昇進もすべてトップの最終決断にて決まる。トップは最終決定権を握る独裁者なのだ。それだけの権限を持つことは、それだけの責任を負っている。いざという時、人のせいにする、泣き言を言うなど言語道断、すべてトップの責任と自覚すべきだろう。これが最高責任者のあるべき姿であると思う。

(つづく)

【野口 孫子】

※これは積水ハウスにエールを送るものであり、誹謗中傷するものではありません。

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