2009年下半期から10年春にかけて、一部の大都市において不動産物件価格の急騰を抑えるために、今年4月中旬から「史上最も厳しい」と言われている不動産業界に対する取締りの幕が開かれました。
しかし、半年が経っても、主要都市の物件価格は、落ちるどころか上昇し続けているようです。ただ、その伸び率が緩やかになってはいますが。そして、政策の効果が問われるなか、9月末から中央政府の主導のもと、各地方政府が取締りを一層強化。10月20日、中央銀行は、3年ぶりに金利の引き上げに踏み切りました。
一連の措置は、中央政府が表明した「物件価格を断固としてコントロールする」というぶれない決意にもとづくものです。今回、実行している政策のキーワードのひとつは「制限」です。投機的な物件需要を最大限に抑制することで価格上昇を抑えながら、「供給」を増やすために時間の余裕を作ることがねらいです。
<購入軒数を制限>
10年10月8日に、上海市政府が新たな措置を打ち出しました。「地元および地方の人は、新たに物件を1軒のみ購入できる」というものです。新築にしても、中古にしても、これから1軒の購買しか認めない。それ以上の取引に対し、物件登録ができなくなるなどと処置も明確に示されています。
北京、深圳、アモイに続き、上海が4番目に「購入制限」政策を取りました。ただし、現時点で保有されている物件の軒数が把握できていません。
上海より、深圳のほうがもっと厳しい。深圳戸籍の家庭に対し、物件を2軒以上保有している場合は再購入が禁止されます。深圳戸籍がない家庭の場合は、物件を1軒しか保有できません。
<販売価格を制限>
上海市政府の規定により、デベロッパーは、新規住宅の発売前にマンション価格の公示を義務付けられるようになります。そして、その発売価格が周辺物件の平均価格より高くなればなるほど、より多くの税金を国家に納めることになります。
また、一旦告示されたら、価格変動で値下げしか認めないことも定められています。つまり、市況が予想より良かった場合、デベロッパーが値上げしようと考えても、値上げができません。「価格が非合理的に上がることを防ぐ」というねらいのようです。
(つづく)
【劉 剛(りゅう ごう)氏 略歴】
1973年12月生まれ。中国上海出身。上海の大学を経て、96年に地元の人材派遣会社に入社。10年3月より福岡に常駐。趣味は読書。
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