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目立つ北朝鮮の「軍・中国重視」~破綻していく韓国の「太陽政策」(上)
特別取材
2010年11月26日 10:28

 北朝鮮の金正日総書記の3男・正恩氏が、9月28日の朝鮮労働党代表者会で公式の舞台に登場してから約2カ月がたった。「金正恩の北朝鮮」はどこへ向かうのか、ある程度予想できる状態になった。正恩氏の関心事は一言で言って「金氏王朝」の体制を守るカギとなる軍や中国などに集中していると言える。

<北・後継者登場後、2カ月間の軌跡>

 韓国統一部が11月14日に発表したところによると、正恩氏は9月の党代表者会以来、同日までに21回にわたり公の場に姿を現した。党関連の行事に姿を見せた回数は7回と最も多かった。それ以外は、中国関連(5件)軍事関連(4件)文化関連(4件)と続く。この数字からも、正恩氏がこの50日間で力を入れたのは、「対中外交」と「軍事分野」に限られると言える。
 10月9日、正恩氏は、朝鮮労働党創建65周年を祝うため北朝鮮を訪問した周永康・中国共産党政治局常務委員を迎えたのに続き、中国人民解放軍による朝鮮戦争参戦60周年記念群衆大会に出席し、北朝鮮を訪問中の中国人民解放軍幹部を接見するなど、中国に対して特別な配慮を示した。
 正日・正恩父子は10月26日、党や軍の首脳ら20人以上を引き連れ、朝鮮戦争の際に中共軍司令部が設置された平安南道檜倉郡を訪問し、毛沢東の息子、毛岸英らが埋葬された「中国人民支援軍烈士墓」を参拝した。韓国政府の当局者によると、「これは前例のないこと」であり、北朝鮮がいかに中国を重要視しているかを、国内外に示す狙いがあるとみられる。
 正恩氏が中国の次に重視しているのが、体制を守る軍などの視察だ。党代表者会後、正恩氏による最初の公式活動は、10月5日に江原道安辺郡で行なわれたミサイル部隊の訓練視察だった。韓国政府の情報当局者によると、同部隊は北朝鮮が2006年7月5日に6発のノドンミサイル、スカッドミサイルを発射する際に使われた基地だ。
 さらに正恩氏は、10月25日に「国家安全保衛部第10215軍部隊」を、11月3日には「護衛司令部」兵力が投入された「慈江道熙川発電所」の建設現場を訪れた。北朝鮮の国家安全保衛部は韓国の国家情報院に相当し、護衛司令部は金正日一家の警護を担当する部隊だ。
 しかし、正恩氏は経済関連の視察は行なっていない。元北朝鮮政府高官の脱北者は、「経済再生も重要だが、体制を守ることと中国に配慮することが優先ということだ」とみる。

(つづく)

下川 正晴(しもかわ・まさはる)
1949年鹿児島県生まれ。毎日新聞ソウル、バンコク支局長、論説委員、韓国外国語大学客員教授を歴任。07年4月から大分県立芸術文化短期大学教授(マスメディア論、現代韓国論)。国民大学、檀国大学(ソウル)特別研究員。


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