柳川市 市長 金子 健次
<「柳川ブランド化」をこれまで以上に推進へ>
新・柳川市が誕生してから5年。市をめぐる状況は、必ずしも明るくはありません。高齢化が進み、人口の減少に歯止めがかからないばかりか、基幹産業である農業や漁業をはじめ商工業も課題を抱えています。
有明海は日本一の海苔や珍しい魚介類がとれますが、有明海の環境悪化により漁獲高が低迷しています。昨年の海苔の生産高は一昨年を下回り100億円にとどまりました。農業も小麦、大豆は県内で1位、米は2位の生産高を誇っていますが、価格の低迷により後継者が育ちにくい状況にあります。
有明海の再生と新しい転作作物や特産品の開発が大きな課題です。最近は都市圏で「蕾菜」が有名になりましたが、「柳川ブランド化」をこれまで以上に推進していく必要があります。つまり柳川が持つ自然や農水産物、町並み、特産物をブランドイメージとして高めていくということです。同時にその地域のイメージを活用した商品開発や観光交流を通してその価値を高めていくことで産業の発展につなげていくことが柳川市の活性化につながり、若者が夢と希望を持てるまちづくりになると考えています。
<「川下り、うなぎ、御花」三本柱に続く名物を作る>
昨年は114万人の観光客が本市を訪れましたが、年々減少傾向にあります。「川下り、うなぎ、御花」という三本柱だけではリピーターは増えません。滞在型ではなく、通過型になっており、観光客1人当たりの消費額も低いのが実情です。観光客は全国から見えられていますので、それに応えられる内容が求められています。そのための施策として(1)柳川の景観を守り、築いていくために景観条例を来年4月から施行できるよう準備を進めています。また現存する武家屋敷などの歴史的建造物の保存活用計画の策定も進めています。(2)昨年7月に市民協働による観光振興プロジェクトチームを立ち上げ、市内の郷土研究家の皆さんと一緒に、旧街道、旧小路まち歩きマップを作り、「通り名」のプレートを設置し「まち歩き観光」を推進しています。自由に乗り降りできる川下りと、まち歩きを融合した社会実験を実施するなどして、リピーターに期待が持てる結果も出ています。
柳川市は、2010年度を初年度とする第2次行財政改革大綱に基づき、聖域なき事業の見直しを行い、不要不急の事業は廃止や縮小し、「選択と集中」「スクラップアンドビルド」で、今後の行政運営の合理化を進めていきます。
これからの4年半は、財政規模を縮小することだけではなく、合併特例債が使えるこの期間にやっておかねばならない事業は、メリハリをつけて計画的に実施していきたいと考えています。例えば柳川駅東部土地区画整理事業、学校改築、コミュニティ施設整備、道路・水路整備事業などがあります。現在、国の動向が見極められない状況ではありますが、将来の柳川市を見据えた健全で計画的な行財政運営に努めていきます。そのためには、議会の理解を得ることはもちろん、市民目線にたったリーダーシップを発揮していきたいと思っています。
<プロフィール>
金子 健次 (かねこ けんじ)
1948年8月16日、福岡県生まれ。福岡大学商学部卒業後、旧三橋町役場に入庁。総務や議会事務局、福祉畑を長く経験し、柳川市議会事務局長を最後に退職。2009年4月の柳川市長選で初当選した。
<事務所概要>
柳川市
市 長:金子 健次
所在地:福岡県柳川市本町87-1
人 口:72,217人(2010年9月末現在)
面 積:76.88平方キロメートル
TEL:0944-73-8111
URL:http://www.city.yanagawa.fukuoka.jp/
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