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【特別連載】積水ハウス50周年への提言~100周年へのさらなる飛躍を目指して(28)
特別取材
2010年11月29日 14:43

<今、最高経営責任者のやるべきこと 1>

 経営者の最大の失敗は、退き際の失敗と言われている。人の評価は退き際で決まると、古来言われている。中国の「史記」に曰く、「四季の序、功を成者は去る」―蔡沢の言葉である。四季とは四つの季節がめぐる秩序の事。春には春の役割があり、夏には夏の本分がある。それぞれ季節は、自分の任務を終えれば静かに去っていく。経営者たるもの功を成して去るのである。

 デュポンの元CEOのアービン・シャピーロ氏は、「いかなる最高経営責任者も、経営者の地位は自分のためにあるのでなく、会社のためにあることを忘れてはならない。経営者の地位を降りる時機を知るのは経営者の務めだ」と言っている。

 トップの引退を阻む第一の障害は「英雄の名声」と言われている。権力の味を知った人間になり、特別の執務室、専属のスタッフや秘書、特別の栄誉役割、社外の人脈、特別な著名人の会合の招待など段違いの待遇を受け、人生の最も豊かな時期を終える、双六でいう人生のあがりである。この終焉に対し、心の葛藤で、今の地位にしがみつきたくなるのである。また、側近によりトップの要請・提言は「帝王の命令」に置き換えられ、トップはいつの間にか「自分は英雄、自分がいないとこの会社は立ち行かない」と大いなる錯覚、勘違いを起こしてしまうことが障害になり、悲劇が起こるのである。

 「権力は腐敗する、絶対権力は絶対腐敗する」という格言がある。側近のゴマすりで自信過剰になり、自分のおごりから、自分の非凡な才能の持ち主と本気で思うようになる。それが傲慢へと膨らんでいく。延命を図るため、会長を辞め、代表権のある相談役に就き、権力の移譲を行なったかたちにして院政を敷きたがるものだ。側近もさらに肥大化を加速化し、知らず知らずにトップの人格に歪みが生まれ、経営者の失敗の道ができてしまうのである。これが最も醜い退き際だろう。

 美しい退き際は逃げるでもなく、惜しまれて「自ら退く」ことだろうと思う。積水ハウスにはその兆候が表れているように見受けられる。傷が深くならないうちに、健全な、完全な権限委譲が行なわれるべき時期に来ているのではないだろうか。
 在任期間が長ければ長いほど、挫折感が大きくなり、英雄の名声に執着するようになるのが人間の弱さである。経営者の役割で縷々述べたが、積水ハウスの現最高経営責任者は、理想とする経営者像とはかけ離れているように思える。

(つづく)

【野口 孫子】

※これは積水ハウスにエールを送るものであり、誹謗中傷するものではありません。

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