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【特別連載】積水ハウス50周年への提言~100周年へのさらなる飛躍を目指して(13)
特別取材
2010年11月 2日 16:39

<海外事業戦略について6>

 競争相手の大和ハウスも海外事業を展開している。主に中国向けのマンション販売を中心に、上海、大連に支店を置いて活動している。
 中国の不動産ブームの波に乗り、蘇州の第一期の大規模マンション販売も評判が良く好調のようだ。現在、第二期の計画に入っている。しかしながら、中国の不動産ブームの実態は、そのほとんどが値上がりを見越した投資用に購入されていると報じられている。つまり、あちこちに誰も住み手のない、空室の家が軒並みにあるということらしい。

 この状況は、中東UAEのドバイとよく似ている。
 ドバイの活況も、リーマン・ショックとともに火が消え、人口の流入も減って、住宅の供給過剰で、借り手が減っている。
 世界一の超高層ビル、高さ828m「ブルジュ・ハリファ」は、そのほとんどが投資目的に購入されているため、空室が目立っている。賃料もどんどん値下がりしているという。

 中国は経済の不安定化とともに、日本にその不満のはけ口を向けてくる恐れもあり、尖閣の問題のように予測不能の事態が発生する危険性もある。経済の過熱から破綻も予測され、政治体制の違いからくる両国間の紛争も懸念される。
 中国、審陽進出を模索している積水ハウスにとっても、悩ましいことだろう。
 かといって、海外進出はリスキーだとして、ひるんでばかりいては何もできない。日本国内販売の低迷が予測されるなか、ひるんでいてはさらなる発展も期待できない。
 一口に海外進出と言っても、各国とも、不安定要素を抱えており、大きなリスクをはらんでいる。バラ色の世界が待っているわけではない。
 早急な成果を期待せずに腰を据え、時間をかけながら地道に、積水ハウスがその国の地場産業として認知され、現地に溶け込みながら根を生やすよう努力が必要なのではないだろうか。

 積水ハウスの歴史をひもとけば、社員の前向きな努力によって、ここまで成長してきた。そのノウハウを世界に広めれば、必ず成功するものと信じている。
 しかし、現在は不確実な時代。予測不能の事態に遭遇して失敗すれば、大きな損失を被ることだろう。

(つづく)

【野口 孫子】

※これは積水ハウスにエールを送るものであり、誹謗中傷するものではありません。


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