<年金職員「これが民主党のやり方だ」>
熊本県人吉市で、日本年金機構の職員が政権与党の名前を出し、生活困窮者に差押えを行なうという信じられない実態が明らかになった。被害者は、同市で太陽光発電システムなどを販売する株式会社エイコーの代表取締役・福岡すみ子氏とその家族。福岡氏が経営する会社は、ここ数年で業績が悪化して破綻寸前。さらに福岡氏は、高齢の両親を抱えており、生活に困窮する日々が続いている。
現在、福岡氏は、国民年金を滞納している。そのため、日本年金機構の差押え処分を受けることとなった。最初の差押えは4月。「祖母の入院費」として福岡氏の娘が借りた金を、福岡氏の口座に振り込んだ。ところが、その金を含む口座残高13万8,590円がすべて差押えられてしまう。
銀行でその事実を知った福岡氏は、すぐに、差押えを行なった日本年金機構・八代市事務所へ問い合せ、「母の入院費を返して欲しい」と懇願した。しかし、電話に出た職員が、滞納金回収の制度に関する説明をしたうえで最後に「これが民主党のやり方」と言い放ったという。差押えられた金は、福岡氏の滞納金および延滞金に充当された。
さらに、詳細は後述するが、10月に2回の差押えを受ける。この際、自分のものではない物品を取り上げられた。
一連の経緯について、福岡氏とともに八代年金事務所側へ赴き、事実確認を行なった。まず福岡氏は、4月の件で電話対応をした職員(「ホンダ」と名乗る)を非難する。同事務所側の代表は、10月に福岡氏の自宅へ差押え処分に来た際の現場責任者であった。福岡氏は、声と名字が同じことから同職員が電話対応をした人物であると主張。一方、同職員は、「ホンダはもうひとりいる。私じゃない」と抗弁。しかし、追及するうちに、おそらくその電話に出たのは"別の人物"とする一貫性のない説明を行なった。
なお、その後の聞き取りで、その"別の人物"は、同職員の部下であることが判明。福岡氏は"その部下"とも面識があり、「絶対に違う」と主張している。
年金機構の地方支部職員が、直接、政党の意を受けて動くとは思えない。しかし、政権与党の威を借り、生活困窮者の個々の事情を省みず、無慈悲な処置が下されたとすれば、日本年金機構のみならず、政府にも少なからず責任がおよぶだろう。
そして、福岡氏の受難はこれだけではない。先述した10月の2回に渡る差押え処分で、本人の所有物ではない電化製品数点を差押えられたというのだ。
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