（株）ユウシステム　代表取締役会長　入江　英也

＜少数精鋭の"タレントエンジニア"　理論を視覚化、経済に落とし込む＞

　コンサル型のシステム構築を手がける「株式会社ユウシステム」は、2005年に設立、2008年に株式会社となった気鋭のIT関連会社である。入江英也代表取締役会長以下６人の"タレントエンジニア"が技術力を駆使し、Webシステムや業務改善の支援システムの構築からサーバ管理、専門ソフト開発、そして産官学共同研究までと大小問わず幅広い事業を展開。取引先も西日本鉄道や三和グループ、九州大学、福岡市、横浜市、フィリピン観光庁など官民・国内外に渡っている。
　福岡に限らず国内にごまんとあるIT企業の競争のなかで、しっかりと業績を伸ばしてきたのには、やはりいくつか理由があるようだ。
　ひとつは、入江会長らが九州工業大学で培った研究成果や研究室とのつながりを活かし、「新しい技術や理論を"視覚化"して、民間経済に落とし込む作業が得意」（入江会長）だということ。専門の電子制御工学の理論も、某電力会社のデータシステム開発に役立っているという。
　また同社では、IT事業に欠かせないサーバ管理のため福岡市内にラックを所有、トラブルが生じても社員が駆けつけ即時フォローができるようにしている。「大事な危機管理は自分たちの目の届く範囲で行ないたいから」と入江会長は説明する。また「業務自体も必要以上に大きくせず、少数精鋭で優れた技術を確実に提供することに徹したい」と話す。その気になればどれだけでも拡大できそうな事業だが、慎重に足元をしっかり固めているところに、より大きな信頼が集まるのだろう。

＜上海にも拠点、アジア企業との提携も＞

　そして同社の大きな強みは「お客様のニーズを聞き出すのがうまい、かもしれません」と少し照れながら入江会長は話す。また、「顧客の思いや企画を、ITという道具を使って、どれだけ膨らませ実現させられるか。ニーズに応える引き出しを多く持ち、その上で自分たちのオリジナリティを提示する。要求されたことだけに応える仕事では、下請けに甘んじるだけです」と続ける。専門分野に狭まりがちな技術職で貴重とも言える柔軟な視点には、過去の経験も影響しているようだ。
　18歳時の米国ホームステイを機に海外へ目が向き、各国をバックパッカーで巡った。大学では留学生のチューターを務め、学生に誘われマレーシアで１カ月滞在したことも。心豊かなアジア人との交流から、多様な価値観も身につけたという。
　同社ではアジアの留学生をインターンとして積極的に受け入れ、08年からは九州を訪れる外国人観光客向けの情報発信事業もスタートさせている。「福岡の企業はまだ、アジアの活力にしっかり目が向いていない。日本はこれからも先進的な独自の技術で勝負するしかないが、民間レベルでアジアと柔軟に交流し、優秀な人材を確保する努力もしないと世界に立ち遅れていく。せめて自分たちの世代、自分たちのビジネスから福岡を変えていきたい」と入江会長は話す。
　同社はアジア系企業との提携を進めながら、上海にアジア交流事業部準備室を立ち上げている。入江会長も上海交通大学に留学予定という。その柔軟な視点と着実な実績、果敢に攻める精神が、目指している「アジアでオンリーワンの企業」へと同社を導いていくはずだ。

＜プロフィール＞
入江　英也（いりえ　ひでや）
1973年、大阪府生まれ。中学時代に熊本県へ移転。熊本電波工業高等専門学校電子制御工学科、九州工業大学情報工学部卒業。九工大在学中に研究室の先輩と合資会社設立。一般企業勤務を経て、05年、「有限会社ユウシステム」代表取締役就任。08年、株式会社に改組。

＜会社概要＞
（株）ユウシステム
所在地：福岡市博多区博多駅東1-9-11　大成博多駅東ビル5F
設　立：2005年８月
資本金：300万円
ＴＥＬ：092-473-0888
ＵＲＬ：http://www.yousys.co.jp/

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