<エピローグ 2>
「エコファースト企業」も技術力の遅れ、目標設定の曖昧さで、気がつけば時代遅れになっている可能性もある。それほど時代の変化は激しいと認識すべきだ。国内の需要の不振、人口減少による市場の縮小で海外へと事業を展開することは当然の成り行きだろう。
過去、積水ハウスが海外進出して失敗した原因をよく分析し、ぜひ、貴重な経験を今後の海外事業の展開に生かしてほしいものだ。
しかし、世界情勢は政治、経済とも不安定が続いている。常に不測の事態を想定し海外戦略を立てなくてはならない。
大和ハウスが来3月期決算を大幅な上方修正、大幅増益を発表しても、株価はリーマン・ショック前の価格まで戻っていない。これは中国で販売しているマンションの売れ行きが思わしくない、本国の業績の足を引っ張る可能性があると市場から不安視されているのだろう。不動産投資の過熱化を冷やすために中国政府が金融引き締め政策に転じたことで、マンション事業が不振に陥るのではと危惧されているからだと言われている。
海外事業は難しいが、国内市場の縮小を考慮すると、チャレンジは避けて通れないだろう。そのためには、進出国の的確な情報が入るシステム作りが急がれると思う。往々にして、海外との人脈のパイプもなく、情報も取る手段もなく、やむを得ず住宅の知識がないブローカー的な商社、銀行などに頼ることになり非常にリスクが高くなるのである。彼らは仲介料を稼ぐだけで責任は取らないからだ。
社員が自分の目で確認して、社員を信じてまかせれば必ずいい結果が生まれるだろう。過去の先人の先輩たちは自分の足で確認してきた。
積水ハウスは今転機にいると思われる。まず、過去の成功体験は通用しないと認識すべきだろう。高度経済成長政策で、うまく乗れただけと認識すべきだろう。現最高経営責任者の中央集権的権威主義によって、いったん落ち込んだ社員の志気を高めるのは至難の業ではない。
今こそ、原点に戻り、人(社員)を大切にする会社にすべきだ。所詮は、会社は人で成り立っている。人がフルに活躍できるようそれぞれに権限を与えれば、強力な積水ハウスに生まれ変わるだろう。原点は企業理念である「人間愛」である。もし、現最高責任者が今も「俺しかいない、俺がすべて決める」と思い続けるなら、確実に衰退の道をたどるだろう。
積水ハウスが今後も繁栄し続けることを祈っている。
【野口 孫子】
※これは積水ハウスにエールを送るものであり、誹謗中傷するものではありません。
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