先日、注目を集めている10月のCPI(消費者物価指数)が発表されました。同発表によると、25カ月ぶりの記録を更新し、前年同期比で4.4%の上昇となっています。年内では初の4%台を突破です。この数字の背景には、庶民が実感する様々な物価変動、「高潮相次ぎ、全面上昇」があります。以下、物価上昇の実況をレポートします。
<食 品>
11月2日、国家発展改革委員会が10月の都市部食品小売価格観測報告書を発表しました。今回は、北京、上海、重慶など36重点都市の31品目の食品価格を対象に調査を実施。結果によると、9月に比べて80%の品目が値上げになっていました。
(1)「昔は100人民元札(約1,500円)でたくさんの食品を買えましたが、今、野菜市場での購買力が縮んでいます」と上海の林さんがため息をつきます。林さんによると、「11月と4月の野菜価格を比較すると、ブロッコリーやほうれん草などの値段が30~50%ぐらいアップした」といいます。
(2)西安の王さんは、いつも朝食にお店で肉饅頭を買います。11月に入って、原材料値上げの影響で、肉饅頭が50%ほど高くなったそうです。「物価急上昇で、過食が制限されれば...」と、王さんは自分を皮肉っています。
(3)重慶のコーヒーショップでは、スターバックス、上島珈琲などの喫茶店で、普通の珈琲一杯が4割ぐらいを値上げされているようです。「珈琲豆の仕入れコストが更に上昇すれば、メニュー価格もさらに調整する」と、ある店の責任者が語っています。
(4)ナッツとドライフルーツは、本来、レジャー食品に属しますが、値上げされ続けている結果、普段、食べられなくなり、「贅沢品」に分類されつつあるそうです。日常の食事と違い、食べなくてもいい部類に入るため、庶民生活から徐々に姿が消えていく傾向にあります。
<衣 類>
1920年代から、女性のスカートの丈はインフレと密接に結びついてきていると言われています。今年の冬、上海におけるファッションの流行は「1945年のような地面から12インチまでのワイド幅長丈のスカート」です。過去のセクシーなイメージに反して古典的なスタイルに一転しています。したがって、より多くの生地を使っているため、値上げせざるを得ません。
同じブランドのウールコートが、去年に比べて1.5倍の値段になっています。人民広場の近くの冬物売り場で、「ダウン」「フェザー」などを素材に作ったモノは大体日本円にすると1万円前後です。
(つづく)
【劉 剛(りゅう ごう)氏 略歴】
1973年12月生まれ。中国上海出身。上海の大学を経て、96年に地元の人材派遣会社に入社。10年3月より福岡に常駐。趣味は読書。
*記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら