<日用品>
11月8日、上海の新聞紙「東方早報」が、地元大学と一緒に行なった「上海と香港の物価水準比較」というテーマの共同調査結果を掲載しました。そのなかで「洗剤やヘアケアなどが香港より3割高い」という内容がありました。
上海の「カルフルスーパー」で、P&Gグループのブランドシャンプー(1,000ml)は75人民元(約1,000円)です。一方、香港のスーパーにおける同商品の価格は、51.4人民元(約670円)です。上海のほうが31.5%高いということになります。
香港へ旅行した上海団員の宋さんは、帰りに5種類10数瓶のシャンプーを買いました。「最終日は必ず、同行するツアー客がほぼ全員、購入することを得策だと思っています」と、宋さんは笑顔で語ります。
<政府の対応>
7月以来農産物を中心に生活に密に係わる品物の価格が急速に上がったことを受け、国民特に中低所得者層の負担を軽減するため、11月20日、中央政府は「物価を安定させ、庶民生活を保障する」という政策を打ち出しました。同政策に従い、上海市政府は、迅速に行動へと移しているそうです。
(1)市政府が各区や県の行政担当者と「責任書」を締結。「野菜供給確保と価格安定が政府の責任だ」と、市長は強調します。郊外の区では、野菜栽培面積や毎日市場に出回る出荷量を保証するほか、野菜栽培の標準化などにも全力を尽くすことも宣言しています。一方、都心部の区では、各区域内の需給バランスや価格安定に対する責任を果たすよう、その所在を明確に定めました。
(2)卸売り場も小売できるように体制を整えます。野菜収穫から市民の食卓までの中間流通過程を少しでも縮小。普通、卸売り場は、朝晩だけが忙しくて日中は空いています。小売を解禁することで、市民がより安い価格を享受すとともに卸売り場の業績向上にもつながります。
(3)トラックで直売所を住宅団地まで送る。上海市野菜生産販売合作社が5台のトラックを出動させ、毎日産地から新鮮な野菜を載せて、住宅団地で直売しています。時刻表通りに、1カ所の住宅団地を週に1~3回ぐらい回ることで、住民が市場より1割安く野菜を入手できます。話によると、あまりにも人気が高まり、午前中だけで5トンの野菜を完売したこともあるそうです。
(4)地元政府は、市場の販売業者に対し、家賃や管理費を下げることで、小売値下げにつなげる施策に踏み切りました。今後、時間限定の路上市場も考えているそうです。
(了)
【劉 剛(りゅう ごう)氏 略歴】
1973年12月生まれ。中国上海出身。上海の大学を経て、96年に地元の人材派遣会社に入社。10年3月より福岡に常駐。趣味は読書。
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