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「企業再生実録」はつくりドラマより100倍面白い(14)~「天国と地獄の狭間(はざま)」
コダマの核心
2010年12月 8日 11:39

 「天国と地獄の狭間(はざま)」というタイトルで連載レポートをお送りする。
 先だって「IB秋季特集号」で『企業再生特集』を組んだ。その特集号の巻頭文に、以下のような記事を書いた。

 本特集号で「企業再生シリーズ」特集を組んだ。題して「『企業再生実録』は経済小説・ドラマよりも100倍面白い」である。読んでいただいたら、経営上の教訓・課題が満載だと気づかれるのは至極当然のことだ。しかし、それよりも何よりも、この「企業再生シリーズ」50ページ程度のコーナーに触れるとメチャ面白さが感じられることだろう。一気に読破されるはずだ。

人の死は終わりだが、
「倒産=企業の死」は
永遠に再生可能

 たとえば、冒頭に登場するベンチャー・テクノ・キャピタル(株)代表の是松孝典さんは、もともと「企業再生コンサル」業を志していた。IT企業のコンサルに特化していたら、知らぬ間に年商総額1,200億円のグループ企業のオーナー社長になっていたという実話。最近でもベトナムに30億円を投資して、IT工場の建設を始めるそうだ。この是松氏による事業展開の実録の迫力を、経済小説家もシナリオライターも表現しきれないと思う。
 今年8月の終わり、福岡市中央区春吉のモツ鍋屋にかつて建設会社を経営していたOBら5名が集まった(厳密に言えば、モツ鍋屋のオヤジも元々建設業を営んでいたから6名)。福岡建設会(FCC)のメンバーである(この会は現在解散)。平成初頭、このFCC会員の増強に筆者は奔走したものだ。だが残念ながら、勧誘した企業の大半は倒産してしまった。実は6名の参加者のなかで、順調に引退できた者は2名のみ。4名は倒産前科者である。
 モツ鍋屋のオヤジは倒産して以降、18年間生きるためにさまざまな自営業を繰り返して食いしのいできた。ある者は個人破産者になり、免責になったあと友人の紹介で会社経営を任された。雇われ社長ながら10年間、つつがなく経営を行なった。そして定年を迎え、次の社長にバトンタッチした。一時、1,000億円の借金を背負っていた元経営者は現在、他人との付き合いを絶ち、宗教的自己鍛錬の世界に打ち込んでいる。「倒産=企業の死」をなしても、その企業の経営者はそれぞれの人生の業を背負って奮闘しているのだ。
 だから「人間の死」を迎えない限り、倒産しても人生ギブアップしない限り、無限の可能性を掴むことができるのだ。糸島市にある雷山ゴルフ場の山間に「雷山の森」がある。別荘地になっているのだが、定住している所帯も増えている。総数300近い住宅が建っているが、近々、第二次開発計画が検討中だ。この企画・監修をしているのは安部氏である。同氏は福岡の飲食ビルを所有していた(株)ラインビルディングのオーナーであった。見事に事業再生を図ったのである。至難の連続は筆舌しがたいものであっただろう。
 「人間の死」はそれで終わり(あの世から帰ってきた故人が三途の川の先を語ってくれたことを耳にしたことがないから「終わり」と言うしかない)。ところが、「倒産=企業の死」は新たな幕開けの始まりなのだ。
 企業の倒産を幾度も繰り返した実例をこのシリーズで報告していく。「再生」のスタートにはさらなる難関が待ち構えていたドラマも紹介しているが、他人事なので楽しんで読める。断言できることがある。失敗しても、必ず再起できる人物の存在があるということだ。彼らは珠が違う。これは持って生まれた性根の差であろう(以下省略)。

 そして今回、「天国と地獄の狭間(はざま)」(ドキュメント民事再生)新興デベロッパーの倒産から再主発までの600日の記録を連載することになった。本当に実録は、小説よりも100倍面白い。


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