中小企業は日本の法人数の99%、民間企業就業人口の80%を占めているが事業承継は一向に進んでいない。事業承継は事業を継続する上で、避けて通れない道であるが、行政書士の竹内正宣氏に解説いただいた。
<はじめに>
日本の法人の99%、民間企業就業人口の80%を占める中小企業の事業承継は一向に進んでいない。その経営者の平均年齢はこの10年で3歳上昇し、かたや事業を承継しないまま廃業にいたる企業も年間30万社あるという。このままでは産業が衰退し多くの人が路頭に迷う事態にもなりかねないので、事業承継は当事者だけでなく社会全体にとっても喫緊の問題になっている。
事業承継は後継者問題がキーということに異論はないが、本稿は後継者問題(後継者のいる・いないとその資質等)の比重は実はもっと軽くできるのではないか、軽くする方法はないかとの思いが出発点である。乱暴な言い方をすれば後継者がいようがいまいが、創業者(現経営者)が事業の永続化を決断し、早めに経営の転換(「経営の見える化」)を実行することが決め手であり、この実行の度合いに応じて後継者は自ずと決まってくるのではないか、決めやすいのではないかということである。図でステージを示しながら提案し、事業承継のために「今が決め時」で、その第一歩の踏み出しを促したい。重要なステージでなす具体策は簡潔に例示したい。
また創業家にとって気になる相続税についても、株価が低迷し、地価が下がっている今が節税対策をするチャンスでもある。
<I.事業を承継する上での悩み~あるアンケートから>
平成20年に福岡商工会議所がまとめたアンケートで50歳台後半の経営者を例に見てみると、48%が「後継者への承継を検討」している。こう答えた経営者にさらに「事業を承継する上での悩み」と質問すると「後継者が未熟で経営を任せられない」46%、「事業承継計画が立てられない」41%、「後継者が見つからない23%」と答え、「後継者を決定している」のは60%となっている。つまり同意を取り付けているかどうかは別にして後継者を決めているのが30%にとどまっている。
容易に後継者を決められない、任せられない経営者の心中が伺えるが、今後もデフレの続きそうな厳しい経済見通しにあってはなおさらのことであろう。
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