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中小企業の事業承継の核心 後継者が決まっていなくとも「経営の見える化」の着手こそが決め手(2)
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2010年12月10日 09:00

 中小企業は日本の法人数の99%、民間企業就業人口の80%を占めているが事業承継は一向に進んでいない。事業承継は事業を継続する上で、避けて通れない道であるが、行政書士の竹内正宣氏に解説いただいた。

【図1】事業継承ステージの区分イメージ

※画像はクリックで拡大します

<II.事業承継の決め手(1)>

【創業者の決断】(図1の「事業ライン」、「今が決め時」参照)

1.なぜ「今が決め時」か

(1)最大の理由は、今手をつけなければますます事業そのものの継続さえ危うくなるから。創業者は人の2倍も3倍も働き、悩んでいるので、いつポックリ逝くかも知れないからでもある。

(2)政府が何とか中小企業の良いところを取り上げ育てようとしており、それが金融庁の指導により銀行の融資姿勢に反映しつつあるから(赤字計上や累積債務があっても「技術力と販売力」、「経営者と経営努力」、「経営改善に向けた取り組み」等に着目して融資することもある)。

(3)株価の低迷と地価の低迷は、資産の譲渡・整理のチャンス(取引相場のない自社株の株価の評価方式である類似業種比準価額方式でも純資産方式でも下がるので、後継者は株の譲受け(売却、贈与にしろ)がしやすくなり、また創業者は譲渡益の損益通算もしやすい等)。

2.何を決めるか

 ここで大事なのは、苦労して育て上げた事業を未来に残したいと思い、永続化を決断すること。さらに誰に継いでもらうにしても喜んで引き受けてもらるには経営をどうしたらいいか考え、実行すること。

 事業の承継の問題もさることながら、仮に創業者がこのまま経営を続けるとしてデフレの進行が予測される厳しい経営環境を乗り切れるかお考えいただきたい。

 経営の現状をよく見ると創業者や創業当時からの古参幹部社員のがんばりに支えられてはいないだろうか。現場の社員が活かされているだろうか。創業者も含めて古参社員や現場の中堅社員がやめたら会社に何が残るだろうか。

 事業の精算という選択もあるが、せっかく汗水たらして育てた事業でノウハウや良さがいっぱいあるものを残さない手はない。まずは、創業者が「この事業を残そう。永続化しよう」と決意することが肝心。

3.何を、誰が、どこから実行するか?(図1の「事業ライン」、「プレ・ビフォア期」参照)

◎人も含めて広い意味での「会社の資産」を改めて棚卸し、属人経営を「経営の見える化」(=知的資産経営への転換)する。(知的資産等の意味と具体例については図2参照)
【図2】知的財産権、知的財産、知的資産、無形資産の分類イメージ図

◎意中の後継者がいればその後継者を入れて(できれば軸にして)、中堅幹部社員が中心で実行することが一番重要。(できるだけ社員全体を巻き込んで)

◎その核は、経営方針書の作成であり、これから始める。
 (ここまでの流れについては図3参照)
【図3】属人経営から「経営の見える化」(知的資産経営への転換)のイメージ

※画像はクリックで拡大します

【表1】経営方針書の内訳と主な内容

◎社員は会社を永続化していくためのパートナー
 社員なしには会社は成り立たないし、これからの事業の永続化には社員の協力が欠かせない。だから中堅社員へできる限りの情報開示をすることも必要。

(つづく)


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