（株）石村萬盛堂 代表取締役社長 石村 僐悟
＜生産技術のプロから一般の消費者まで 見学者が絶えることがない新工場＞
2010年１月から、太宰府市にある太宰府天満宮のそばに建設した新工場が稼動した。多くの「鶴乃子」を作る日本随一のマシュマロ工場である。また、同工場は、多品種小ロットの生産技術を有する。トヨタの生産方式を参考に機械の基本ラインを自社で設計した。生産技術に関わる人たちから高く評価されているという。
実際に、同工場へ多くのプロが見学に訪れている。まだ操業してから１年も経っていないが、その間に４、５回ほど訪れた団体もあるという。
一方で、太宰府天満宮への参拝や九州国立博物館を見学した帰りに、立ち寄る一般の消費者も少なくはない。
工場に併設する直営店では「鶴乃子」はもちろん、それに匹敵する人気商品「塩豆大福」、そして大宰府限定商品などを買い求める消費者の姿が絶えることはない。このような福岡を代表する観光地への工場設置は、地元に対する石村社長の想いの裏返しでもある。
＜九州全体のための空港建設＞
思い入れのある地元・福岡にさまざまな提言を行なってきた石村社長は、とりわけ需要の増加が続く福岡空港の将来について考えることがあるという。市と県は、新空港を建設しない方針を打ち出した。まるで"税金のムダ使いの象徴"のように語られる地方空港だが、石村社長は、その方針に対し「すべての空港を同じ視点で見てはいけない」と苦言を呈する。
「道州制の議論が活発になってきたが、そのなかで九州全体・日本全体のために福岡空港の役割を考えてもらいたい」（石村社長）。この提言のなかには、国際競争力を持つ空港を早期に建設しなければ、九州・日本自体が埋没するという危機感がある。「自分の世代では実現できなかったが、次の世代には何とか頑張って覆してもらいたい」と若い世代に期待を寄せているという。
＜リーダー育成のための小中一貫教育＞
将来のリーダー育成のためにも教育が重要だと、石村社長は考えている。その軸となるのは、人格形成のための小中一貫教育だ。「現在の中高一貫教育は大学受験のための技術的なもの。頭だけが良くて人格形成ができていなければ意味がない」。東京大学出身である石村社長の言葉は重い。
「まずは型にはめて公的な素養を身につけさせる。その上でその型を打ち破り、成長する」。これは石村社長が折に触れて唱える「守破離」の精神である。
福岡、そして国への想いが人一倍強い石村社長だが「愛国心教育」という言葉には違和感を持っている。「公的な素養・人格が確立したうえで、日本のすばらしい文化・伝統を存分に伝えれば国を想う気持ちは自然と芽生えてくる」。斬新な発想と地道な活動。企業の発展と地域の貢献と両立してきた石村社長に対し、「石村さんが何をするか」と博多っ子は目を凝らす。ハートと頭脳を両立する第２・第３の「石村僐悟」育成に向けて、まずは公立の小中一貫教育の建設に向けて力を尽くしていくという。
＜プロフィール＞
石村 僐悟（いしむら ぜんご）
1967年、福岡県立修猷館高校卒業。71年、東京大学経済学部卒業。79年、３代目として「（株）石村萬盛堂」代表取締役社長に就任。その後、洋菓子ブランド「ボンサンク」の立ち上げと成功、ホワイトデーの提案など、自社のみならず業界全体における革新的な取り組みを行なってきた。趣味は、謡曲と読書。
＜会社概要＞
（株）石村萬盛堂
代表者：石村 僐悟
所在地：福岡市博多区須崎町2-1
設 立：1905年12月（創業）
資本金：3,600万円
ＴＥＬ：092-291-5090
ＵＲＬ：http://www.ishimura.co.jp/
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