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今こそ、考えたいエコな店、エコロジーチェーン(2)
流通
2010年12月13日 15:55

<CO2 の排出量が多いコンビニ、スーパー>

鳩山元首相のサミット宣言によりCO2削減の法規制が厳しくなるのは必至 2009年9月22日、鳩山由紀夫元首相はニューヨークの国連本部での国連気候変動サミットにおいて、「2020年までに90年比で25%のCO2を削減する」と、国際社会に宣言した。
 ただ、スーパーなどのチェーンストア各社は、自民党政権時代からエネルギーの削減目標を年率1%としていた。したがって、仮にこの数値を削減年率の目安にすると、今から10年で、とても目標値の25%には届かないことになる。
 今年秋の臨時国会は、尖閣諸島での中国船衝突事件や小沢一郎氏の政治と金、閣僚の失言などで重要法案の審議は先送りとなった。しかし、年明けの通常国会では環境関連の法案は目白押しで、現行法の改正はもちろん、新法の制定により規制が強化されるのは間違いない。
 基準となる単位は、省エネ法の原油換算から国際基準の温室効果ガス(GHG)をCO2換算した数値と言われており、そのうえで、各業界の総量規制が決められるだろう。10年で目標を達成するとなると、企業に対するCO2削減の法規制が厳しくなるのは必至だ。
 ちなみに、小売業界のCO2 の排出量は、コンビニが基準年の90年度は87.4万tに対し、07年度は303.9万tと250万t近くも増加した。次いでスーパーなどのチェーンストアが99年度は337.6万tに対し、同686.6万tと100万tを超える増加量である。(産業構造審議会・中央環境審議会の会合資料より)
 生鮮商品などを生産者から店舗に輸送し、販売、消費のプロセスで途切れることなく低温に保つ方式を「コールドチェーン」と呼ぶが、これはエネルギー消費量や温室効果ガスの排出量が多い。つまり、この方式を採用するコンビニや食品スーパーは環境負荷が高いわけで、規制が強化されるのは想像に難くない。

<冷凍保存システムが招いた功罪>

 コールドチェーンは、精肉生産大国の米国で肉の鮮度維持、熟成のために生まれた冷凍保存技術によって、一気に世界中に広がった。
コールドチェーンは地球温暖化を防止する上で野放しできない しかし、産地で精肉に加工するとまず冷凍倉庫に備蓄し、そこから各地にはトラックや鉄道で冷凍輸送。販売拠点のスーパーでも冷凍庫や冷凍ケースを必要とする。さらに消費者も精肉を購入すると、家庭の冷蔵庫で保存する。冷蔵庫が大型化した現在では、なおさら買いだめに走る消費者は少なくない。
 つまり、大量のエネルギーを使うコールドチェーンは、地球温暖化を防止するうえで野放しにはできない。だから、何とか現状の冷凍技術を維持したまま、エネルギーの消費量を抑えなければならないのである。
 家庭用では省エネ対応の冷蔵庫が次々と発売されているが、業務用冷凍冷蔵庫にもそろそろ省エネタイプを普及させなければならないだろう。むしろこうした分野にこそ、日本の技術革新の力が活かせるのではないだろうか。
 また、フロンガスの問題もある。コンビニやスーパーはスクラップ&ビルドが多く、機器の撤去や充填の時にフロンガスが漏れているのではとの指摘もある。09年度からは経済産業省と環境庁が調査に乗り出しており、調査結果による改善指導や基準強化がはっきりすれば、こちらも対策が不可欠になる。
 コールドチェーンの仕組みを見る限り、 コンビニやスーパーでは使用するエネルギー以上に、二酸化炭素やフロン、メタンなどを加えた温室効果ガスを大量に出していることになる。もちろん、小売業界全体でも早急な取り組みが必要である。

(つづく)

【釼 英雄】


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