イーデン電気技研(株) 代表取締役 井手 勝也
<多忙な父に反発の心が生まれた>
私が父から社長の座を継承して4年が経ちました。社長という責任の重い仕事をしていると、自分の力不足をしばしば感じます。就任当時は何をやっていいのかも分からず、右往左往していました。そのたびに社員や仲間、そして何より家族がときには励まし、ときには叱咤して後押ししてくれました。この力添えがあってこそ、私は重い責任に耐えることができ、会社を経営することができているのだと痛切に感じております。
弊社は1977年に高電圧設備の容量適正化による電気代を節約する提案や電気工事を行なう会社として設立されました。当時はこの方法での節電に対する一般的な理解が充分に得られておらず、行政の関係者の方やユーザー様に説明することから骨を折ったと聞いています。開拓者精神を持って一つひとつ難題をクリアしていくことはとても大変だっただろうと思います。役職を継いでから知りましたが、父は関係者と口角泡飛ばし議論を重ねたと聞きました。父はそんな重い仕事をしていたのですが、幼かった私はそんなこと気にもかけず、親に反発していたものです。
父が会社を設立した頃、日本は高度経済成長期でした。父は仕事を最優先し、家庭を顧みませんでした。幼い私は1カ月のうちに1日程度しか父の顔を見ることもないような生活を送り、それが当時は当たり前だと思っていました。昭和時代の父親像よろしく、私の父もたまに顔を合わせると理不尽に私を叱ったり、母を怒鳴ったりしていました。今思うと、父は連日の激務からストレスがたまっていたのかも知れないのですが、当時の私にはそれが理解できませんでした。そのような生活が続き、私は父親に対して反発を覚えるようになっていったのです。成人してからも父とはあまり口もきかないような関係となってしまいました。
<子どもを授かり、親の心を知る>
その後、私は結婚をし、子どもを授かりました。残念ながら婚姻は破たんしてしまいましたが、子どもを授かったことで初めて親の慈愛の深さというものを知ることができました。親というのは子どものことを、どれだけ大切に育てているのか、どれだけ心配しているのか。それを知り、これまでの私の親への態度を深く反省しました。今では父と酒を酌み交わし談笑することができるようにもなり、家族とは実にありがたいものだと感じています。家族は温かく、力をくれるかけがえのない存在です。
最近、家庭内暴力などの報道をテレビや新聞でよく見かけるようになりました。核家族による問題点も指摘されているようです。家族のかたちは時代によって変わるのかも知れないですが、私は家族の絆というのは昔も今も変わらないのではないかと考えております。私は結婚に失敗し、多くのものを失いましたが、それによって得られたものもたくさんあるように思います。相手を心から思うこと、信頼すること、支えあうこと、感謝すること、家族に接するように、すべての人に接すること。これこそが社会生活を健全にするための第一歩なのではないでしょうか。
<プロフィール>
井手 勝也(いで かつなり)
1972年生まれ。日本大学工学部卒業後、2006年に社長就任。あまり高くないお酒をこよなく愛する。
<会社概要>
イーデン電気技研(株)
代表者:井手 勝也
所在地:福岡県大野城市仲畑3-2-33
創 業:1977年
資本金:1,000万円
TEL:092-592-1600
※本稿は以下の書籍に掲載されています。
活用法その1 「企業経営の良き参考書」
各界を代表する有名経営者の提言は、これから起業される方をはじめ、現在、経営に携わっている方への良きアドバイスとなるでしょう。経営戦略・人材育成・CSR(企業の社会的責任)など、内容は多岐に渡っており、さまざまな場面でお役に立つはずです。
活用法その2「営業先を知るための予習書」
福岡を中心に各企業の代表がずらりと掲載されている本著は、各経営者の考え方や社歴を知るための予習書として営業ツールに最適です。
活用法その3「福岡の未来が分かる予言書」
「予言書」とは言いすぎかもしれませんが、福岡・九州の発展のために、国会議員、自治体首長、地方議員の方々からいただいた提言も掲載されています。また、深い見識を持つ各業界のトップ・リーダーたちも、福岡のまちづくりに対するアドバイスを行なっています。
活用法その4「就職活動の参考書」
これから社会へ飛び立とうという若者へ。就職後のミスマッチをなくすためにも企業の考え方の違いを知ることは重要です。就職を希望している会社の事前予習にも活用できる本著は、就職活動においても役に立つはずでしょう。
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