戦後最年少市長の高島宗一郎市長には、若さの裏返しと言える"頼りない"というイメージがつきまとう。市議会が開会される数日前、「一番心配なのはサービス精神から出る軽率な発言、失言だ」と市長選で親身になって支援した自民党市議は語っていた。
民放アナウンサー時代は、バラエティー色のある番組に出演していた。そこでは慎重性が重視される報道アナとは違い、場をしらけさせないような気の利いたコメントが求められてきた。しかし、政治的責任のある市長の立場では、どんなにつまらなくてもいい。決して軽はずみな発言をしてはいけない。
注目された14日、午後から行なわれた共産党市議との質疑応答でも野次に動ぜず、じっくりと腰を据えた発言を行なった。市職員の給与引き下げ、グループホーム、生活保護(ケースワーカーの不足)など、繊細な対応が求められる問題にも局長答弁に矛盾しない内容で応じた。
これには当初、高島宗一郎市長に批判的だったベテラン野党市議も評価。「あれでいい。よう分かっとらんのに、ペラペラしゃべったら、自分で自分の首をしめる今の政権みたいになる」と、ひとまず及第点を付けた。
もちろん今後の課題は多い。所信表明後、市長選で吉田宏前市長を応援した民主党市議団は拍手をしなかった。隣席の副市長に、手元の資料を見せてアドバイスをもらうような場面もあった。
人口146万の政令指定都市の市長職は並々ならぬ重責を背負う。閉会直後、「それじゃあ、アジアのナンバー・ワン都市になれんよ!」との野次に、ニッコリとうなずいて返した高島宗一郎市長。本当の戦いはこれからである。
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